スーパーラグビー2017 ROUND 5 ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ vs ストーマーズ
マッチレビュー
観客を魅了するトライを奪いながら、それが結果につながらない。またしても、惜敗だった。
3月25日、ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズは、今季負けなしのストーマーズと対戦した。序盤は互いに大きくボールを動かしながらの攻防となる。ストーマーズのSOロバート・デュプレアのPGで先制されたものの、サンウルブズは前半6分、CTBデレック・カーペンターがトライをあげる。相手陣深く入り、PR伊藤平一郎がストーマーズのキックをチャージし身を挺してボールを確保、左オープンに展開し、最後はNO8ヴィリー・ブリッツからパスを受けたカーペンターがインゴールに走り込んだ。
幸先のいいスタートだった。11分、今季初先発のSO小倉順平がPGを決めて、10-3とリード。ストーマーズにトライを返されたが、21分、サンウルブズはストーマーズ陣22mライン付近でボールを奪うと、WTB福岡堅樹が強引に前進、続いてSH内田啓介がゴールに迫る。ここでできたラックからボールを右に展開し、最後はカーペンターのパスを右タッチライン際で受けたWTB江見翔太が相手のタックルを飛び越えるように右コーナーに押さえ、2本目のトライ。観客を大いに沸かせた。
25分には、安定したスクラムからの素早い攻撃でLOサム・ワイクスが抜け出し、LOリアキ・モリにつないで中央へトライ。24-10とリードを広げる。グラウンドを広く使って、素早くボールを動かし、ディフェンスを翻弄するサンウルブズ。「勝機あり」と誰もが思っただろう。
しかし、ストーマーズはこのあたりから戦術を変え始める。
経験豊富なSHデヴァルト・デュヴェナカのリードでFWが執拗に密集サイドをつき、35分、FLラインハルト・エルスタットがトライ。39分、サンウルブズの不用意な反則からデュプレアがPGを決め、24-20。
サンウルブズはハーフタイム開けの43分、FBジェイミー-ジェリー・タウランギ が巧みにタックルをずらしながら福岡へパスし、抜け出した福岡をサポートしたカーペンターにパスがわたり、31-20と再び突き放す。
スコア上はリードしたが、この後、サンウルブズはほとんどの時間を自陣でプレーすることになった。粘りのディフェンスから何度かターンオーバーをするのだが、相手陣に入ろうとするキックに正確さを欠き、カウンターを受けては自陣に戻され、FWの力勝負でじわじわと前進される繰り返し。
53分にストーマーズのPRウィルコ・ロウにトライされ、31-27とされると精神的にもプレッシャーがかかったのか、自陣での反則、ミスが多くなり、60分、デュヴェナカに逆転トライを奪われてしまう。この後、サンウルブズは選手交代で流れを変えようとするが、フィジカルの強みを前面に押し出すストーマーズの攻撃でスタミナを奪われていった。総タックル数は、ストーマーズの「73」に対してサンウルブズ「171」(TEAM STATS>守備 参照)。その奮闘が悔しさを倍増させる敗戦だった。
「フォワードはすごく機能していて、内容としてはいい試合だったと思います。後半は相手が攻め方を変えてきて、フォワードを前面に押し出してくるというところは、正直予想していなく、意表を突かれたかたちでした」(小倉順平)。
ストーマーズは試合の中で戦い方を変化させた。そうした懐の深さは、長らくスーパーラグビーの上位チームとして力を発揮してきた証だろう。逆にサンウルブズは連敗中ということもあり、勝ち急いでいた。スクラム、ラインアウトが安定しているのだから、攻撃に緩急をつけることもできた気がする。
次戦は4月8日、秩父宮ラグビー場で南アフリカのブルズを迎え撃つ。3月18日、アウェイで21-34と競り合っただけに、ホームでなんとしても今季初勝利を飾りたい。ここまで大活躍の福岡堅樹、江見翔太にもやや疲れが見える。1週の休みでリフレッシュし、サポーターを喜ばせるプレーを披露してもらいたい。
「前回、ブルズとは惜しい試合をしているので、その借りを返す気持ちでやっていきたい。スタジアムにもたくさんのファンの方が応援にきて頂けると思うので、ファンの皆さんの前でしっかり勝利を掴みたいと思います」(江見翔太)。
4月8日は、ぜひ秩父宮ラグビー場へ。タフな環境で戦い続ける選手たちに、今こそ熱い声援を。
写真:リアキ・モリ選手のトライシーン
©JSRA photo by H.Nagaoka
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◆次戦は再び秩父宮で!!ともに戦おう!!
4/8(土)14:15キックオフ@秩父宮ラグビー場・東京
ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ vs ブルズ
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