<マッチレビュー>
スーパーラグビー2019 ROUND1 vsシャークス text by 村上晃一
コラム2/18(月) 12:00
2019年2月16日、ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズのスーパーラグビー参戦4度目のシーズンが始まった。サンウルブズのホームでもあるシンガポールナショナルスタジアムには、日本からも熱心なファンか駆けつけ、試合前から熱い声援を送っていた。
チームは1月12日から集合し、国内でトレーニングした後、気温30度前後のシンガポールの初戦に適応するため、オーストラリアで合宿しての現地入りだった。過去3年よりも良い準備ができたことで、初戦のパフォーマンスに期待が高まったが、相手のシャークスも同じ南アフリカカンファレンスの強豪であるライオンズ、ブルズとプレシーズンマッチを行い準備万端で開幕戦を迎えていた。
シャークスFWは、LOルアン・ボタ(205㎝、121㎏)、NO8ダニエル・デュプレア(196㎝、112㎏)に代表されるサイズとパワーを誇る。海外出身選手が多いとはいえ、サイズの小さなサンウルブズは、スピーディーにボールを動かし続けるしかない。SH茂野海人は「前半からボールを動かして強気にアタックしたい」とコメントしていたが、各選手のコメントからも積極的に攻める意気込みを感じた。
午後6時55分、サンウルブズSOヘイデン・パーカーのキックオフで試合は始まった。シャークスは安定したキャッチから、SOロバート・デュプレアが大きなキックでハーフウェーライン付近まで陣地を戻す。このラインアウトから右オープン展開でサインプレーを仕掛けたサンウルブズだが、シャークスの激しく飛び出してくるディフェンスラインの頭を超えようとしたパーカーのパスがスローフォワードの判定となり、シャークスボールのスクラムとなる。そのスクラムからシャークスの攻撃は左ショートサイドを大きくゲインしたあと、サンウルブズのゴールライン方向へキック。これをサンウルブズのWTBセミシ・マシレワがゴールライン付近でキャッチしてインゴールで押さえたが、紙一重のタイミングでマシレワがインゴールに持ち込んだという判定となり、キャリバックで相手ボールの5mスクラムとなる。その後の波状攻撃の中で、サンウルブズの防御ラインがオフサイドを取られ、シャークスSOデュプレアにPGを決められた。
その後は前に出るディフェンスで対抗し、8分、自陣からの攻撃でSOパーカーが防御背後にショートパントを蹴り、これを追ったCTBシェーン・ゲイツがボールをキャッチし、そのまま走り切って、7-3と逆転する。12分にはWTBマシレワの快走で相手陣に入り、ラインアウトからモールを押し込むと、シャークスがたまらずコラプシングの反則。14分、パーカーがPGを決め、10-3とした。
しかし、サンウルブズのスコアはここまで。SOデュプレアの飛距離の出るタッチキックほか、地域を進めて戦うことを意識したシャークスの戦略にサンウルブズは自陣でくぎ付けになる。そして、自陣から思い切った攻撃を仕掛けるたびにミス、反則を犯し、シャークスボールのスクラム、ラインアウトが増える悪循環。「シャークスの土俵で戦ってしまいましたね」とは、後半10分に交代出場のPR山下裕史。ミスのたびにシャークスが自信を持つスクラムとなり、マイボールのスクラムが少なく、攻める機会が少なかった試合展開を嘆いた。
すべてが悪かったわけではない。37歳と10カ月でスーパーラグビーデビューとなったLOトンプソン ルークは、こぼれ球に身を投げ出した確保するなど相変わらずの献身的なプレーを披露。もう一人のLOジェームズ・ムーアもシャークスのカウンターアタックを的確なタックルで止めたほか、運動量豊富に動き回った。
前半27分、シャークス陣深く入ったラインアウトのロングスローでマシレワが突進し、ゴールに迫ったが、FLツイ ヘンドリックがさらに前に出ようとした際にボールをこぼし、ノックオン。このように素早くボールを動かそうとする気持ちが強すぎるのか、難しいパスをしたり、難しいボールに手を出してミスというシーンが相次いだ。「早いテンポのラグビーが我々のスタイルです。プレッシャーの中でも、できるようになるしかありません」と、スコット・ハンセンヘッドコーチ代行。選手たちの意気込みを責めることはなかった。
前半は10-24。後半の立ち上がりにはサンウルブズがチャンスを作ったが、WTBマカゾレ・マピンピらにトライを奪われ、終わってみれば、10-45という完敗だった。「スクラム、ラインアウトともに上手くいった」と、シャークスのロバート・デュプレアヘッドコーチ。サンウルブズ側から見れば、素早いテンポのスタイルを強力なセットプレーで封じ込められたわけだ。ディフェンス面でも「誰が誰を見るか、分からないようなところがあった」(松田力也)と、簡単に走られる場面が多かった。セットプレー、規律面も含め、すべてにおいて課題の多く出た試合だった。
しかし、スーパーラグビーはまだ始まったばかりである。2月23日には、秩父宮ラグビー場でオーストラリア代表選手を多数含むワラターズの戦いが待っている。サンウルブズで唯一のトライを奪ったシェーン・ゲイツは前向きに言った。「今季初めての試合ということもあり、ミスも多くありましたが、日本に戻ったらしっかりとスキルの練習をし、サンウルブズブランドのラグビーを出せるようになれば、ファンの皆さんにも喜んでもらえると思います」
パスとキックを駆使して、ボールを縦横無尽に動かし、観客を楽しませる。一週間で変身したサンウルブズスタイルを見せられるか。それを支えるセットプレー、ディフェンスの修正がもっとも重要だろう。
チームは1月12日から集合し、国内でトレーニングした後、気温30度前後のシンガポールの初戦に適応するため、オーストラリアで合宿しての現地入りだった。過去3年よりも良い準備ができたことで、初戦のパフォーマンスに期待が高まったが、相手のシャークスも同じ南アフリカカンファレンスの強豪であるライオンズ、ブルズとプレシーズンマッチを行い準備万端で開幕戦を迎えていた。
シャークスFWは、LOルアン・ボタ(205㎝、121㎏)、NO8ダニエル・デュプレア(196㎝、112㎏)に代表されるサイズとパワーを誇る。海外出身選手が多いとはいえ、サイズの小さなサンウルブズは、スピーディーにボールを動かし続けるしかない。SH茂野海人は「前半からボールを動かして強気にアタックしたい」とコメントしていたが、各選手のコメントからも積極的に攻める意気込みを感じた。
午後6時55分、サンウルブズSOヘイデン・パーカーのキックオフで試合は始まった。シャークスは安定したキャッチから、SOロバート・デュプレアが大きなキックでハーフウェーライン付近まで陣地を戻す。このラインアウトから右オープン展開でサインプレーを仕掛けたサンウルブズだが、シャークスの激しく飛び出してくるディフェンスラインの頭を超えようとしたパーカーのパスがスローフォワードの判定となり、シャークスボールのスクラムとなる。そのスクラムからシャークスの攻撃は左ショートサイドを大きくゲインしたあと、サンウルブズのゴールライン方向へキック。これをサンウルブズのWTBセミシ・マシレワがゴールライン付近でキャッチしてインゴールで押さえたが、紙一重のタイミングでマシレワがインゴールに持ち込んだという判定となり、キャリバックで相手ボールの5mスクラムとなる。その後の波状攻撃の中で、サンウルブズの防御ラインがオフサイドを取られ、シャークスSOデュプレアにPGを決められた。
その後は前に出るディフェンスで対抗し、8分、自陣からの攻撃でSOパーカーが防御背後にショートパントを蹴り、これを追ったCTBシェーン・ゲイツがボールをキャッチし、そのまま走り切って、7-3と逆転する。12分にはWTBマシレワの快走で相手陣に入り、ラインアウトからモールを押し込むと、シャークスがたまらずコラプシングの反則。14分、パーカーがPGを決め、10-3とした。
しかし、サンウルブズのスコアはここまで。SOデュプレアの飛距離の出るタッチキックほか、地域を進めて戦うことを意識したシャークスの戦略にサンウルブズは自陣でくぎ付けになる。そして、自陣から思い切った攻撃を仕掛けるたびにミス、反則を犯し、シャークスボールのスクラム、ラインアウトが増える悪循環。「シャークスの土俵で戦ってしまいましたね」とは、後半10分に交代出場のPR山下裕史。ミスのたびにシャークスが自信を持つスクラムとなり、マイボールのスクラムが少なく、攻める機会が少なかった試合展開を嘆いた。
すべてが悪かったわけではない。37歳と10カ月でスーパーラグビーデビューとなったLOトンプソン ルークは、こぼれ球に身を投げ出した確保するなど相変わらずの献身的なプレーを披露。もう一人のLOジェームズ・ムーアもシャークスのカウンターアタックを的確なタックルで止めたほか、運動量豊富に動き回った。
前半27分、シャークス陣深く入ったラインアウトのロングスローでマシレワが突進し、ゴールに迫ったが、FLツイ ヘンドリックがさらに前に出ようとした際にボールをこぼし、ノックオン。このように素早くボールを動かそうとする気持ちが強すぎるのか、難しいパスをしたり、難しいボールに手を出してミスというシーンが相次いだ。「早いテンポのラグビーが我々のスタイルです。プレッシャーの中でも、できるようになるしかありません」と、スコット・ハンセンヘッドコーチ代行。選手たちの意気込みを責めることはなかった。
前半は10-24。後半の立ち上がりにはサンウルブズがチャンスを作ったが、WTBマカゾレ・マピンピらにトライを奪われ、終わってみれば、10-45という完敗だった。「スクラム、ラインアウトともに上手くいった」と、シャークスのロバート・デュプレアヘッドコーチ。サンウルブズ側から見れば、素早いテンポのスタイルを強力なセットプレーで封じ込められたわけだ。ディフェンス面でも「誰が誰を見るか、分からないようなところがあった」(松田力也)と、簡単に走られる場面が多かった。セットプレー、規律面も含め、すべてにおいて課題の多く出た試合だった。
しかし、スーパーラグビーはまだ始まったばかりである。2月23日には、秩父宮ラグビー場でオーストラリア代表選手を多数含むワラターズの戦いが待っている。サンウルブズで唯一のトライを奪ったシェーン・ゲイツは前向きに言った。「今季初めての試合ということもあり、ミスも多くありましたが、日本に戻ったらしっかりとスキルの練習をし、サンウルブズブランドのラグビーを出せるようになれば、ファンの皆さんにも喜んでもらえると思います」
パスとキックを駆使して、ボールを縦横無尽に動かし、観客を楽しませる。一週間で変身したサンウルブズスタイルを見せられるか。それを支えるセットプレー、ディフェンスの修正がもっとも重要だろう。