マッチレビュー 2018 ROUND 16 ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ vs.ブランビーズ text by 村上晃一
コラム6/4(月) 11:36
ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズにとって、チームの総合力を証明したい一戦だった。6月の日本代表戦の準備のため、リーチ マイケル、堀江翔太、福岡堅樹ら大半の中心選手が離脱したのに加え、連勝を支えたLOグラント・ハッティング、CTBマイケル・リトル、WTBホセア・サウマキが負傷により帰国する緊急事態。新たなメンバーを加えての戦いは、6月3日(日)、オーストラリアのキャンベラ(現地時間:午後4時5分)にて行われた。
対するは、オーストラリアカンファレンス3位のブランビーズ。今季の開幕戦(2月24日、秩父宮ラグビー場)で、25-32で敗れた相手だ。6月、アイルランド代表を迎え撃つオーストラリア代表メンバーに選ばれたPRスコット・シオ、アラン・アラアラトア、FLデービッド・ポーコック、SHジョー・パウエル、CTBテヴィタ・クリンドラニ、FBトム・バンクスが揃って出場し、プレーオフ進出に向けてこの試合の重要さを示すメンバー編成だった。
ブランビーズSOクリスチャン・リアリイファノのキックオフで試合は始まった。立ち上がりはサンウルブズの素早く前に出るディフェンスがブランビーズのミスを誘う。しかし、前半7分、自陣でWTBセミシ・マシレワがハイタックルの反則を犯し、ゴールラインを背負ってのラインアウトから攻め込まれ、ポーコックに先制トライを許してしまう。直後に相手ゴールライン直前まで攻め込んだが、ここはSOヘイデン・パーカーが密集サイドのディフェンスでオフサイドの反則をとられてチャンスを逃した。そして、12分、ブランビーズのWTBアンディー・ミュアヘッドに左タッチライン際を大きくゲインされると、SHパウエルにラックサイドを破られ、FLラクラン・マキャフェリーにトライを奪われる。
手痛い反則2つと、タッチライン際を大きくゲインされるのは今季の失点パターン。0-12とリードされ、序盤から苦しい戦いになった。それでもサンウルブズはCTBジェイソン・エメリーの好タックルからCTB立川理道がボールに絡んで反則を誘うなど、ディフェンスで粘り、SOヘイデン・パーカーのPGを決めて、3-12とする。ここから反撃に出たいところだったが、ブランビーズのポーコックのジャッカル(タックルで倒れた相手からボールを奪うプレー)でペナルティーを犯すと、スクラムを選択され、FBバンクスにインゴールに飛び込まれた。セットプレーからのサインプレーに対応できないディフェンスのもろさが出ていたが、ブランビーズが誇るタレントが役割を果たしたトライでもあった。
前半35分、立川がブランビーズSOリアリイファノのキックをチャージし、バウンドしたボールをエメリーが拾い上げてトライ。約70%ボールを支配されながら後半に望みをつなぐ貴重なトライだった。また、前半終了間際、NO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコがインゴールでトライを防いだタックルも勝利への執念を感じるものだった。
後半開始早々、先にスコアしたのはサンウルブズだった。ハーフウェーライン付近で、FBロビー・ロビンソンが相手キックをキャッチすると、パスを受けたパーカーがディフェンダーを抜き去ってマシレワにつなぎ、連続攻撃につないだ。最後はSH内田啓介のフラットなパスに走り込んだPRヘンカス・ファン・ヴィックがトライ。パーカーのゴールも決まって、17-19とする。しかし、スコアするたび、直後に失点するのがこの日の悪い流れ。激しく前に出るディフェンスでプレッシャーをかけたが紙一重のタイミングのパスをリアリイファノに2本通され、右、左のタッチライン際を走られてトライを奪われる。スコアは、17-24。特に、WTBテアウパがリアリイファノの死角から思い切ってタックルした際、気配を察知したリアリイファノがボールを弾くようなタップパスで攻撃をつないだのは見事だった。
以降は、14分にWTBヘンリー・スペイト、18分、FLトム・キューザックに連蔵トライを許し、突き放された。終盤は、FLフェツアニ・ラウタイミ、FBゲラード・ファンデンヒーファー、WTB⽯井魁、PRアレックス・ウォントンがサンウルブズでのデビューを果たし、終了間際には石井が危険なタックルを受けながらも集中力高くインゴールに飛び込み、一矢報いた。最後のゴールを決めたパーカーは、この日もすべてのプレースキックを成功させた。今季35回の機会で34回のプレースキックを決め94%という驚異の成功率だ。
キャプテンを務めたヴィリー・ブリッツは、「我々としてはもっとボールをキープしたかったですが、ブランビーズもしっかりプレッシャーをかけてきました」と、ボールをキープできなかったことを敗因の一つにあげた。最終的なポゼッション(ボール保持時間)は、ブランビーズが62%だった。ペナルティーはブランビーズの「5」に対して、サンウルブズは「10」と多く、10回のターンオーバーを許すなど、ボールを失うことが多かった。課題が多く残ったが、6月の日本代表戦のメンバーである、HO坂手淳史、SH内田啓介、CTB立川理道、WTBシオネ・タアウパが先発、交代出場でFL布巻峻介が出場し、強いプレッシャーの中でプレーできたのは収穫だろう。
その中の一人、立川理道は次のようにコメントした。「6月は自分を含め日本代表選手は新たな役割があります。しっかりその役割を全うしなければいけませんが、サンウルブズのことも頭におき、次に合流した時にすぐワンチームになれるよう意識して過ごしたいと思います」。日本代表メンバーは、イタリア、ジョージアとの3試合をあと、サンウルブズに合流し、6月30日、シンガポールでのブルズ戦に備える。国代表としてのプライドをかけたテストマッチを経た選手と、コンディションを整えた選手たちが融合し、さらに強くなったサンウルブズの戦いを期待したい。
対するは、オーストラリアカンファレンス3位のブランビーズ。今季の開幕戦(2月24日、秩父宮ラグビー場)で、25-32で敗れた相手だ。6月、アイルランド代表を迎え撃つオーストラリア代表メンバーに選ばれたPRスコット・シオ、アラン・アラアラトア、FLデービッド・ポーコック、SHジョー・パウエル、CTBテヴィタ・クリンドラニ、FBトム・バンクスが揃って出場し、プレーオフ進出に向けてこの試合の重要さを示すメンバー編成だった。
ブランビーズSOクリスチャン・リアリイファノのキックオフで試合は始まった。立ち上がりはサンウルブズの素早く前に出るディフェンスがブランビーズのミスを誘う。しかし、前半7分、自陣でWTBセミシ・マシレワがハイタックルの反則を犯し、ゴールラインを背負ってのラインアウトから攻め込まれ、ポーコックに先制トライを許してしまう。直後に相手ゴールライン直前まで攻め込んだが、ここはSOヘイデン・パーカーが密集サイドのディフェンスでオフサイドの反則をとられてチャンスを逃した。そして、12分、ブランビーズのWTBアンディー・ミュアヘッドに左タッチライン際を大きくゲインされると、SHパウエルにラックサイドを破られ、FLラクラン・マキャフェリーにトライを奪われる。
手痛い反則2つと、タッチライン際を大きくゲインされるのは今季の失点パターン。0-12とリードされ、序盤から苦しい戦いになった。それでもサンウルブズはCTBジェイソン・エメリーの好タックルからCTB立川理道がボールに絡んで反則を誘うなど、ディフェンスで粘り、SOヘイデン・パーカーのPGを決めて、3-12とする。ここから反撃に出たいところだったが、ブランビーズのポーコックのジャッカル(タックルで倒れた相手からボールを奪うプレー)でペナルティーを犯すと、スクラムを選択され、FBバンクスにインゴールに飛び込まれた。セットプレーからのサインプレーに対応できないディフェンスのもろさが出ていたが、ブランビーズが誇るタレントが役割を果たしたトライでもあった。
前半35分、立川がブランビーズSOリアリイファノのキックをチャージし、バウンドしたボールをエメリーが拾い上げてトライ。約70%ボールを支配されながら後半に望みをつなぐ貴重なトライだった。また、前半終了間際、NO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコがインゴールでトライを防いだタックルも勝利への執念を感じるものだった。
後半開始早々、先にスコアしたのはサンウルブズだった。ハーフウェーライン付近で、FBロビー・ロビンソンが相手キックをキャッチすると、パスを受けたパーカーがディフェンダーを抜き去ってマシレワにつなぎ、連続攻撃につないだ。最後はSH内田啓介のフラットなパスに走り込んだPRヘンカス・ファン・ヴィックがトライ。パーカーのゴールも決まって、17-19とする。しかし、スコアするたび、直後に失点するのがこの日の悪い流れ。激しく前に出るディフェンスでプレッシャーをかけたが紙一重のタイミングのパスをリアリイファノに2本通され、右、左のタッチライン際を走られてトライを奪われる。スコアは、17-24。特に、WTBテアウパがリアリイファノの死角から思い切ってタックルした際、気配を察知したリアリイファノがボールを弾くようなタップパスで攻撃をつないだのは見事だった。
以降は、14分にWTBヘンリー・スペイト、18分、FLトム・キューザックに連蔵トライを許し、突き放された。終盤は、FLフェツアニ・ラウタイミ、FBゲラード・ファンデンヒーファー、WTB⽯井魁、PRアレックス・ウォントンがサンウルブズでのデビューを果たし、終了間際には石井が危険なタックルを受けながらも集中力高くインゴールに飛び込み、一矢報いた。最後のゴールを決めたパーカーは、この日もすべてのプレースキックを成功させた。今季35回の機会で34回のプレースキックを決め94%という驚異の成功率だ。
キャプテンを務めたヴィリー・ブリッツは、「我々としてはもっとボールをキープしたかったですが、ブランビーズもしっかりプレッシャーをかけてきました」と、ボールをキープできなかったことを敗因の一つにあげた。最終的なポゼッション(ボール保持時間)は、ブランビーズが62%だった。ペナルティーはブランビーズの「5」に対して、サンウルブズは「10」と多く、10回のターンオーバーを許すなど、ボールを失うことが多かった。課題が多く残ったが、6月の日本代表戦のメンバーである、HO坂手淳史、SH内田啓介、CTB立川理道、WTBシオネ・タアウパが先発、交代出場でFL布巻峻介が出場し、強いプレッシャーの中でプレーできたのは収穫だろう。
その中の一人、立川理道は次のようにコメントした。「6月は自分を含め日本代表選手は新たな役割があります。しっかりその役割を全うしなければいけませんが、サンウルブズのことも頭におき、次に合流した時にすぐワンチームになれるよう意識して過ごしたいと思います」。日本代表メンバーは、イタリア、ジョージアとの3試合をあと、サンウルブズに合流し、6月30日、シンガポールでのブルズ戦に備える。国代表としてのプライドをかけたテストマッチを経た選手と、コンディションを整えた選手たちが融合し、さらに強くなったサンウルブズの戦いを期待したい。