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Round11 フォース戦マッチレビュー

コラム5/8(日) 14:30

歴史的初勝利から2週間、秩父宮ラグビー場には、16,885人の観客が詰めかけ、サンウルブズに熱い声援を送った。前半4分、怪我から復帰のWTB山田章仁がCTBデレック・カーペンターのオフロードパス(タックルされながらのパス)に走り込んで先制トライ。昨年所属したチームへの恩返しのトライに思わずガッツポーズ。スタンドにはサンウルブズの赤いタオルが揺れた。しかし、その後のサンウルブズは受け身に回る。BYE WEEK(試合のない週)を一週はさんだ影響か、簡単に先制トライを奪ったことが精神面に微妙な影響を与えたのか、前に出るタックルができず、フォースの連続攻撃に次々にディフェンスラインを破られた。

「もっとキックを使ってくると思った」(堀江翔太キャプテン)。フォースは戦略的キックの多いチームだ。サンウルブズはキッキングゲームが上手いとは言えない。そこを狙ってくると考えるのが普通だが、「サンウルブズは良いアタッキングスキルを持っている」と、フォースのマイケル・フォーリーヘッドコーチは、自分達のボールをキープして連続攻撃を仕掛け、サンウルブズの長所を消した。しかも、PRフランソワ・ファン・ワイク(189㎝、114㎏)をはじめとしたFW前5人の大型選手達が、巧みにタックルをずらしながら走り込んでくる。

前半6分の失トライは、自陣から攻めた際にパスをインターセプトされたものだが、その後は、連続攻撃で崩され、フォースWTBマルセル・ブラーシェに3連続トライを奪われてしまう。27分にもFLブレイナード・スタンダーにトライを追加されたが、これも連続攻撃で、タックル後のボール争奪戦で相手のテンポを遅らせるプレッシャーをかけることができないまま、後手後手のタックルになっていた。前半を終えて、26-5、3トライ3ゴール差をつけられる。

「前半は選手のエナジーが感じられず残念だった。疲れはなかったはずだが、チームとしてエナジーを出してプレーしなければサンウルブズの目指すラグビーはできない」(マーク・ハメットヘッドコーチ)。後半の立ち上がりは、サンウルブズがダブルタックルで相手のミスを誘い、FLアンドリュー・デュルタロがタックル後にボールを奪うなど、フォースに圧力をかけ始める。攻撃面でもディフェンスを崩すシーンが出始めるが、後半10分、SOトゥシ・ピシがカウンターアタックを仕掛けた際、カーペンターへのパスがスローフォワードとなる。つながっていればトライチャンスが生まれただけに惜しいプレーだった。

この日のサンウルブズは、ラインアウトも安定せず、ピシのプレースキックも不調、細かいミスも相次ぎ、もどかしいプレーが多かった。「相手陣に入ってミスや反則でボールを渡してしまっていた。リズムを引き寄せるプレーができませんでした」(堀江)。

後半の序盤に投入されたFL安藤泰洋、HO木津武士は、ボールを持って激しく突進し、チームに勢いを与えた。また、後半26分に細田佳也との入替で退場したLO大野均は、前日の38歳の誕生日を迎えたが、相変わらずの激しいプレーで、「大野が唯一ディフェンスのラインスピードを上げていた」とハメットHCも称える大活躍。常に自分の責任を果たす男の面目躍如だった。流れが変わった後半は、18分にピシ、30分、カーペンター、39分、山田がトライをあげたが、フォースにもトライを追加されて届かなかった。

後半の反撃でボール保持時間、ディフェンスラインを突破する回数も上回ったサンウルブズだが、前半の失点が響いた。「組織ディフェンスは、横の選手をいかに意識できるかです。それが明確でないままプレーしているとろこがあった」と堀江キャプテン。攻撃での連携ミスもあり、チームとしての意識の統一が足りないと感じさせる敗戦でもあった。「スーパーラグビーがどれだけタフな大会かを再認識させられる試合でした。(初勝利を挙げたことで)勝利のハードルはさらに高くなりました。毎週、この試練に立ち向かっていくしかありません」(ハメットHC)。

試合後、フォースの闘将マット・ホジソンの顔がテレビ画面に大写しになった。この日、チーム一のタックル20回を数え、スーパーラグビー全選手の中でもっともタックル回数の多い男は傷だらけだった。傷を作ればいいわけではないが、ラグビーという競技の荒々しさ、激しさがその顔に刻まれていた。タフにならなくては、スーパーラグビーは戦い抜けないのである。

©JSRA photo by H.Nagaoka

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