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Round8 チーターズ戦マッチレビュー

コラム4/18(月) 15:50

南アフリカ遠征の難しさ。

7戦目にして初めてサンウルブズが大崩れした。堀江翔太キャプテンが失トライ後のインゴールで険しい表情で遠くを見つめ、プレーメイカーのSOトゥシ・ピシが天を仰ぐ。稲垣啓太、山田章仁ら主力選手が次々に負傷離脱し、LOティモシー・ボンドが危険なプレーで出場停止になるなど、苦しいメンバー編成の中で迎えたツアー4試合目。疲れの蓄積した選手達に前半なかばまでの33失点はダメージが大きすぎた。点差を一気に詰めるために無理なプレー選択をして、ミス、反則が繰り返される典型的な負けパターンにはまってしまった。

先制したのはサンウルブズだった。連続攻撃からPR三上正貴が突進したところで、相手が反則を犯し、前半4分にピシがPGを決めて、3-0。上々の滑り出しだったが、前半7分、自陣からパスをつなぎ、プレッシャーを軽減してからのキックをしようとした最後の立川理道のパスが、チーターズのプレッシャーを受けて紙一重のスローフォワードとなり、そのスクラムで猛プッシュを受ける。スクラムを崩すペナルティーを犯し、そのPKからのタッチキックによるラインアウトからモールを押し込まれ、HOトルステン・ファンヤースフェルトにあっというまにトライを奪われた。

このトライに象徴されるように、チーターズは、第2節のシンガポールでの戦いの反省もあってから、先発にスクラムの強い第一列を並べ、ディフェンスでも激しく前に出て徹底してサンウルブズにプレッシャーをかけた。9分、ピシのパスをチーターズのCTBフランソワ・フェンターがインターセプトして50mを走りきるトライ、15分には、ピシが防御背後へキックしたボールをチャージされ、FLウゼアー・カシームにトライを奪われた。この連続トライは、いずれもサンウルブズが攻勢に出たところでボールを失っており、心身ともにショックが大きかった。その後数分はパニック状態になったかのようにディフェンスが機能せず、前半21分の時点で5トライ目を与えてしまう。33分のトライは、抜群のスピードを誇るWTBセルジール・ピーターセンが自陣からのハイパントをパエア ミフィポセチと競り合ってキャッチして走りきったもので、完全にチーターズの攻撃陣を波に乗せてしまうものだった。本来はCTBのパエアをWTBで起用しなくてはいけない台所事情も傷口を広げていた気がする。

前半を終えて、3-45。サンウルブズが1つめのトライをあげたのは後半8分だった。自陣からのカウンターアタックで、WTBビリアミ・ロロヘアが大幅ゲインして相手陣に入り、PKからの速攻でCTBデレック・カーペンターが中央トライ。後半20分には、パエアのトライで2トライ目をあげたが反撃はここまで。後半に出場したSH茂野海人、HO木津武士らがアグレッシブなプレーで流れを変えようとしたが、自陣からの攻撃でミスが連続し、トライを畳み掛けられ、終わってみれば、17-92。14トライを奪われる大敗だった。

長距離移動と休みなく続く連戦、標高1000mを越える高地での戦い、そして南アフリカの選手達の想像以上のパワーを前に、スーパーラグビーのタフさを思い知る南アフリカでの3連戦。しかし、「疲れは言い訳にできない」と堀江キャプテンが言う通り、この環境で戦うことを求めての参戦であり、この悔しさをバネにタフになるしかない。ただ、課題のスクラム、ラインアウトについては専門家の知恵も借りて早急に修正しなくてはならないだろう。次節からの日本に戻っての2試合で、選手のコンディションもあわせて立て直したい。

試合後、堀江翔太キャプテンは現地のインタビュアーからスーパーラグビー参加への歓迎の言葉をかけられ、「ありがとうございます。もっと、見ている人が楽しいようなラグビーがしたいです」とコメント。最後に震災で苦しむ熊本県、九州の皆さんへの思いを語った。「熊本の人達に勝って勇気を与えたいと思っていたけれど、それはできませんでした。でも、これからも毎試合、熊本、そして九州の人達に何かを感じてもらえるような試合をしていきたい。今は何もできないですけど、今後、ラグビーとして、スポーツ界としてサポートしていきたいです」

次週(4月23日)は、秩父宮ラグビー場で第9節を迎える。相手は、昨年のラグビーワールドカップでベスト4に進出したアルゼンチン代表を軸にしたジャガーズだ。そのジャガーズもここまで1勝しかあげられず、スーパーラグビーの難しさを体感している。今季より参戦したチーム同士の好ゲームを期待したい。

©JSRA photo by H.Nagaoka

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