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Round6 キングズ戦マッチレビュー

コラム4/4(月) 11:41

初白星は近そうで遠かった。

4月2日、スーパーラグビー2016第6節のキングズ対サンウルブズの試合は、南アフリカ共和国ポートエリザベスのネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアムで行われた。

ここまで勝ち星のない両チームは序盤から果敢に仕掛け合った。開始1分、サンウルブズは安定した中盤のスクラムから左オープンに展開し、SOトゥシ・ピシが左WTBの山田章仁にキックパス。ここはキックが山田の頭を越えてタッチへ。直後、キングズに攻め込まれ、FBユルゲン・ヴィサーに左コーナーに飛び込まれるも、ここは、サンウルブズのWTBヴィリアミ・ロロヘアがトライセービングタックルでタッチに押し出す。ピンチを逃れたかに見えたが、自陣からキックで脱出しようと起点となるラックを作ったが、激しく押し込まれてターンオーバーを許し、3分にキングズのキャプテン、LOスティーブン・サイクスにトライを奪われてしまう。

PGを決めあい、3-10と7点のリードを奪われたサンウルブズは、我慢のディフェンスからチャンスを作る。14分、キングズ陣10mラインの左中間でマイボールスクラムとなり、WTB山田がSOの位置に立ちサインプレーを仕掛けようとしたところ、スクラムでペナルティをとられると、そこから攻め込まれてキングズの俊足WTBマルコム・ジェアーにトライを奪われてしまう(スコアは、3-15)。スクラムの劣勢はこのあともサンウルブズを苦しめた。

ンウルブズも連続攻撃を仕掛けるのだが、ホームでの初勝利に執念を燃やすキングズのディフェンスが粘る。それでも23分、キングズのゴール前ラックの背後からHO堀江翔太が弧を描くように走り込んでポスト下にトライし、10-15。勢いづいたサンウルブズは、素早くボールを動かして波状攻撃、25分には、SOピシがタックルをかいくぐって右中間にトライをあげ、15-15の同点に追いついた。しかし、スクラムの劣勢、ミスもあって、流れを完全にものにできない。28分には、マイボールスクラムを押し込まれて再びペナルティを犯す。PGを決められ、31分にはキングズ陣に攻め込むも、タックルされた後のボールがアンラッキーにも相手の足に当たってこぼれ、逆に独走トライを奪われてしまう。

スクラムで圧力を受け、ラインアウトも不安定、タックルされた選手へのサポートも遅れがち。4連敗の課題が残ったままの戦いは、これまで4試合よりもやや集中力を欠いているように見えた。それでも前半39分、右に左に大きくボールを動かして、LOティモシー・ボンドが左コーナーにトライし、20-23と3点差にしてハーフタイムを迎えた。

後半の立ち上がり、サンウルブズは、LO大野均に代えて真壁伸弥を投入、真壁は流れを変えようと懸命にボールを持って前に出る。ここからは一進一退の攻防が続いた。そして、後半15分、ピシがPGを決めて同点に追いつく。20分、PGを決められ、再び3点のリードを奪われた直後のキックオフでトライチャンスが訪れる。深い位置へのキックオフをロロヘアが猛然と追いかけ、ゴールライン付近でノックオンを誘う。しかし、サンウルブズもこのボールを確保できない。その後の攻防でサンウルブズはPKを得るのだが、ここはPGを狙わずに攻めた。「攻め切れると思ったので、その判断に悔いはない」(堀江キャプテン)。しかし、トライを取り切れず。トライチャンスは、その後も数回訪れた。

27分、ピシが相手のキックをチャージし、ゴールに迫ったが、ここは、キングズのFLクリス・クルータが懸命に戻ってインゴールでボールを押さえる。ゴール前のスクラムを得たサンウルブズは、前半の劣勢を修正し、スクラムで何度も圧力をかけ、何度もゴールラインに迫り、30分、ついにFLリアキ・モリがポスト下に飛び込んだかに見えたが、ここは、キングズの交代出場のHOマルティン・フェレイラに押し戻されてしまう。最終的には、相手のタックルのコースを妨げるオブストラクションの反則でチャンスを逃した。

残り時間は5分、なんとか食らいつくサンウルブズ、勝負を決めようとするキングズの手に汗握る攻防となったが、39分、サンウルブズはゴールラインを背負ったスクラムを押し込まれてボールを奪われ、キングズのCTBシェーン・ゲイツにトライを許した。終了間際に山田章仁がトライを返して28-33の5点差とし、なおも攻め続けたのだが、最後は連続攻撃の中でミスがあり、万事休す。またしても接戦を落とすことになった。「なかなか勝てないですね」。試合後のインタビューでの堀江翔太キャプテンは淡々と言葉を発した。それは、惜敗の連続がもどかしい、心の叫びのようにも聞こえた。

後半はある程度修正したものの、勝負どころのスクラムでは圧力を受け、チャンスをつぶし、ピンチを脱することができなかった(マイボールを失ったのは、3回)。素早く出す工夫を含めて、一週間でどこまでボール獲得率を改善できるか。次週の相手は、LOエベン・エツベス、FLスカルク・バーガーなど南アフリカ代表選手を擁するストーマーズが相手だ。彼らのパワーをまともに受ける時間を極力少なくする戦い方が求められる。大会前、堀江キャプテンは言っていた。「途中で投げ出すようなことは絶対にしません。(どんな相手にも)絶対に勝つという気持ちで臨みます」。多くの選手が日本ラグビーの未来のために参加することを決めたサンウルブズ。ストーマーズに対してもその気持ちをぶつけてくれるだろう。

©JSRA photo by H.Nagaoka

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