Round3 チーターズ戦マッチレビュー
迎えた2戦目。戦える感触。
サンウルブズの第2戦は、3月12日、スーパーラグビー初開催となるシンガポール・ナショナルスタジアムで行われた。対するのは、南アフリカのチーターズである。日本時間の午後7時55分(現地、午後6時55分)、キックオフ。立ち上がりは、サンウルブズが課題だったスクラムで健闘し、ハーフウェイライン付近のスクラムから左サイドを攻めてWTB笹倉康誉が大幅ゲイン。続いて右オープンにボールを動かし、最後はCTB田村優がタックラーを右にずらしながらFBリアン・フィルヨーンにパス、フィルヨーンが素早くタッチライン際のWTB山田章仁へパスをつなぐ。山田は一人二人と巧みなステップワークでディフェンスをかわして右中間に先制トライ。難しいゴールをSOトゥシ・ピシが決めて、7-0とする。その後、PG2本を返されるが、13分、PKからの速攻でピシが右タッチライン際にいたフィルヨーンにキックパスし、CTB立川理道、山田とつないで右コーナーにトライ。14-6とした。この時点で、チーターズのハンドリングエラーはサンウルブズの倍の6、サンウルブズのディフェンスでのプレッシャーが攻撃を寸断していた。その後1トライを返されたが、サンウルブズは、ピシが防御背後へ短いキックを使い、これをCTB田村がキャッチして抜け出すと、山田がもう1本トライを追加する。そして、前半終了間際には、HO堀江翔太キャプテンが体を反転させながらタックルをかわしてトライを追加、28-13とリードして前半を終了した。
移動。暑さ。敵は対戦相手だけにあらず。
後半、サンウルブズは、ピシがPGを追加して31-13としたが、得点はここまで。FW第一列のメンバーをすべて入れ替えてきたチーターズにスクラムで圧力を受け始め、4分にトライを奪われて31-20と迫られると、13分、サンウルブズのキックをカウンターアタックされ、SOダニエル・マレーにトライを許し、31-27とされた。16分、20分と、PGチャンスを得たが、ピシ、田村がいずれも失敗。その後、10分以上にわたる猛攻を粘りのディフェンスで耐えたが、31分、モールからトライを奪われて逆転されると、そのまま敗れた。
「後半足が止まった」と堀江翔太キャプテン。30度を超える気温と高い湿度で両チームともに大量に汗をかき、足の攣る選手が続出した。最後は消耗戦になったが、後半30分、サンウルブズはNO8エドワード・カークがモールを故意に崩したとしてシンビン(10分間の一時退場)になり、反撃の糸口をつかめなかった。
第1戦(対ライオンズ)からスクラムは改善され、アタックの精度も高まった。7点差以内の負けに与えられるボーナス点も獲得した。しかし、メンバーの交代によってチーム力を上げてきたチーターズに対して、サンウルブズは先発メンバーの疲労とともにパフォーマンスが下がっていった。選手層の厚さ、試合中の修正力を見せつけられたが、それを体感するためにスーパーラグビーに入ったのであり、このレベルで戦える選手層を厚くしていくしかない。シンガポールと日本では気温差も大きく、長距離移動、試合というサイクルは、コンディションを保つのも難しいだろう。しかし、否応なしに試合は続いていく。次戦は、秩父宮ラグビー場に戻ってオーストラリアのレベルズを迎え撃つことになる。選手にはタフな生活が続くが、着実なステップアップで初勝利をもぎ取ってもらいたい。
©JSRA photo by H.Nagaoka