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<マッチレビュー>
スーパーラグビー2019 ROUND 4 vs ブルーズ text by 村上晃一

コラム3/10(日) 12:51
ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズの今季4試合目は、ほろ苦い敗戦となった。3月9日、ニュージーランド(NZ)北島ノースハーバーのQBE スタジアムにて、サンウルブズはブルーズ(NZカンファレンス)と戦った。ブルーズはここまで3連敗。試合直前、23歳の若さで急逝したブルーズのマイク・タモアイエタへの黙とうが捧げられ、キャプテンのソニービル・ウィリアムズを筆頭に地元での今季初勝利に燃えていた。

現地時間の午後7時35分、サンウルブズSO松田力也のキックオフで試合は始まった。ブルーズのキックをFBセミシ・マシレワが蹴り返す際にチャージされたが、これをWTBゲラード・ファンデンヒーファーがカバーし、SHジェイミー・ブースがタックラーを振り切って相手陣に入る。今季初先発のブースは、思い切りのいいランで再三チャンスを作った。

前半4分、12分と松田がPGを決めて、6-0とリード。序盤はサンウルブズのスピーディーな連続攻撃にブルーズが反則を繰り返す展開となる。16分、ブルーズのSOハリー・プラマーにPGを返され、6-3となった後もサンウルブは素早いテンポで攻め、組織ディフェンスもよく機能し、ブルーズにプレッシャーをかけ続けた。 

19分、自陣のスクラムからNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコがサイドアタックで抜け出したが、この際、FL松橋周平が相手のジャージを引っ張ったとしてオブストラクションの反則を取られる。その後のタッチキックで攻め込まれると、ラインアウトからの連続攻撃で最後はブルーズのトライゲッター、WTBリーコ・イオアネに左コーナーに走り込まれた。スコアは6-8。その後のキックオフからの攻防でもサンウルブズは相手SHのボール出しを妨害する反則を取られる。同じ反則がこの日2度目で、課題だった規律の乱れは前半から生じ始めていた。

前半30分、サンウルブズは観客を驚かせるトライをあげる。ハーフウェーライン付近の左タッチライン際を、HO坂田淳史、CTBマイケル・リトル、ウォーレンボスアヤコで攻略したものだ。リトルが右手で背中の後ろから出したパスがウォーレンボスアヤコの膝に当たって前に跳ね、これを拾って走り抜け、最後は松田につなぐというアクロバティックなプレーだった。ウォーレンボスアヤコがノックオンしたか否かについて映像判定(TMO)が行われたが、明確にノックオンとは認められず、トライが成立した。スコアは13-8。このまま前半を終えたいところだったが、ピンチのゴール前スクラムで圧力を受け、再びリーコ・イオアネにトライを奪われ、13-15と逆転されてしまう。

サンウルブズは後半6分、フレッシュな選手を投入。FL松橋からダン・プライヤー、LOトム・ロウからヘル ウヴェ、WTBヘンリー ジェイミーからジョシュ・ティムと一気に入れ替える。ジョシュ・ティムの顔を見て、ピンと来た人は海外ラグビー通だ。ティム(21歳)は、1990年代にオールブラックスで活躍したジョン・ティムの息子でオタゴ代表の選手だが、サンウルブズのNZ遠征中にCTBに負傷者が出たことで急きょ契約が決まった新加入の選手だ。ティムは持ち前のランニングスキルの高さで何度もディフェンスを突破し、今後の活躍に期待を抱かせた。
 
後半8分、ブルーズのリーコ・イオアネに3本目のトライを奪われ、13-20とされて以降、サンウルブズは反則の繰り返しで自ら苦境を招いてしまう。12分にはティムの突破で相手陣に攻め入ったが、LOジェームズ・ムーアがラックで倒れながら手を使う反則を犯し好機を逸する。16分には攻め込まれたラックサイドのディフェンスでマシレワがオフサイドの位置から飛び出し、シンビン(10分間の一時退場)。その直後にリーコ・イオアネにこの日4本目のトライを許して、13-25と突き放された。

「キャプテンとしてもっと早い時間帯に規律について厳しく言うべきでした」とは、試合後のマイケル・リトルのコメント。後半22分、ヘル ウヴェの力強いトライで20-25に迫りながら、34分、交代出場のHOネイサン・ベラがゴール前のピンチで相手のパスをはたき落とす反則でシンビンとなり、ブルーズSOオテレ・ブラックにPGを決められ、20-28と8点差に突き放された。7点差以内の負けに与えられるボーナス点も逃す痛恨の失点だった。

 攻撃面のスタッツ(統計数値)を見ると、ボールを持って進んだ距離は、ブルーズが「426m」に対してサンウルブズは「445m」。ディフェンス突破は、「28」対「24」、クリーンブレイクは「14」対「12」。ディフェンス面でもタックル成功率はサンウルブズのほうが高く、反則で苦しんだ試合だった。スクラムの劣勢、アウトサイドのディフェンスなど他にも修正すべき点は多かったが、反則で相手にボールを渡す数を減らすことは喫緊の課題だ。ペナルティ数はブルーズの「3」に対し、サンウルブズは「15」である。先発HO坂手淳史が「自分たちを潰さない、苦しめないという事を、もう一度考えて規律の部分を守っていけば、さらに自分たちのいいところを出せると思います」と話した通り、課題は明確だ。

 サンウルブズは、3月16日、オーストラリアカンファレンスのレッズを秩父宮ラグビー場で迎え撃つ。
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