マッチレビュー 2018 ROUND 19 ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ vs. レッズ text by 村上晃一
コラム7/13(金) 20:48
ヒト・コミュニ―ケーションズ サンウルブズの2018年シーズンの戦いが終わった。最後は今季最高のパフォーマンスが見たかったが、前半37分にレッドカードが出て、後半の40分を14人で戦う事態となる。2試合連続して15人で最後まで戦えないという悪夢が繰り返されたのだ。前節は1人少なくなったことで、ディフェンスが崩壊したが、今回は試合中に修正し、なんとか持ちこたえて終盤の10分に2トライを返す意地を見せた。ネバーギブアップのサンウルブズ魂を見せた戦いを振り返る。
7月13日(金)、現地時間19:45(日本時間18:45)、オーストラリアのブリスベンにあるサンコープスタジアムで試合はキックオフされた。サンウルブズのSOヘイデン・パーカーが蹴り上げたボールを念願のスーパーラグビーデビューとなったWTB藤田慶和が追う。5分、自陣22mライン内からの攻撃でミスが起こり、レッズボールのスクラム。レッズ自慢のスクラムで圧力を受けると、左WTBエト・ナンブリに前進を許し、最後はFLリアム・ライトにトライを奪われる。
サンウルブズは、自陣から積極的に攻撃を仕掛けたが、ハンドリングエラーが多く、チャンスを逸するチグハグな攻撃が多かった。それでも前半14、16分にパーカーがPGを決めて、6-7とする。パーカーは、この2本を加えて今季48回のプレースキック機会で46回を成功させるという驚異の成功率。23分、ナンブリに再びトライを奪われたが、28分には、ペナルティートライを奪い、13-14とする。CTBマイケル・リトルのトライへのラストパスを、レッズのCTBダンカン・パイアアウアが叩き落とすという反則だった。その後、レッズのFBジョノ・ランスにPGとトライを決められ、13-22と引き離されたが、僅差勝負で後半に入ることができれば勝利の可能性を感じさせるプレーができていた。
サンウルブズにとって厳しい判定がくだったのは、前半37分だった。レッズのSOハミッシュ・スチュワートをタックルで倒したとき、サンウルブズのエドワード・カークがスチュワートの顔面にパンチを振り下ろしたとしてレッドカード(退場処分)を受ける。映像判定の末の決断だった。FWが7人のとなったサンウルブズはその後のスクラムで押し込まれると、PRタニエラ・トゥポウにトライされ、13-29と突き放された。
2試合連続で14人になってしまったサンウルブズは、準備された攻撃ができなくなり、精神的なショックもあってか、後半の最初はミスが連鎖する。11分には、自陣からの攻撃中にリーチがレッズのパイアアウアにボールをもぎ取られ、ナンブリにこの日2本目のトライを奪われる。その後2トライを追加された時間帯は、集中力が切れているように見えた。後半25分でスコアは、13-48。このまま加点される流れかと思われたが、ここからサンウルブズの反撃が始まる。
後半16分に投入されたSH田中史朗が変幻自在のパスワークでレッズのディフェンスを翻弄し、後半11分にヴィリー・ブリッツに代わって出場した姫野和樹はタックルを弾きながら前進を続けた。32分、CTBマイケル・リトルと交代出場のFLラーボニ・ウォーレンボスアヤコで左タッチライン際を攻略。ゴール前でレッズがボールをタッチに出しところで、リトルがクイックスローイングで投げ入れ、交代出場のCTB中村亮土がトライ。難しいゴールをパーカーが決めて20-48とする。直後の攻防では、リーチが相手のキックに対するカウンターアタックでまっすぐ突進。ダブルタックルを受けるも、チームの気持ちを奮い立たせた。35分、LOヴィンピー・ファンデルヴァルトのパスを受けたHOジャバ・ブレグバゼがトライし、27-48。なおも攻め続けたが、スコアは動かずノーサイドとなった。
「(カークにレッドカードが出たことについては)我々にとって厳しい判断となりました。2週連続でこのような事が起こり、サンウルブズの本来のパフォーマンスが出せなかった事は非常に残念です」とトニー・ブラウンヘッドコーチ代行はコメントした。15人が緻密に連携することでトライを生み出すサンウルブズにとって、1人欠けることは致命傷になる。規律を守ることについては、今回の判定を不運と考えずに意識を徹底する必要がある。前向きに考えれば、予期せぬ事態の対応について学べたといえる。この経験を無駄にしてはいけない。
スーパーラグビー参戦3年で、毎年1勝ずつ多く積み上げての3勝13敗。秩父宮ラグビー場での今季最終戦でファンを喜ばせたレッズ戦勝利。続く香港ではストーマーズの終了間際のドロップゴールによる劇的な逆転勝ち。シンガポールでの初勝利(ブルズ戦)もあった。ブラウンヘッドコーチ代行はシーズンを振り返って次のようにコメントした。「チームはシーズンが深まるにつれて、高いパフォーマンスを発揮できる集団になっていきました。日本人の選手だけでなく、これまでスーパーラグビーレベルで力を発揮できていなかった外国人選手達も、サンウルブズに来て素晴らしいハイパフォーマンスをみせてくれました。ラグビー自体の質も上がり、そして世界最高のチームに対して高いレベルで対抗できるようになりました。将来的にはこういったチームを倒し、スーパーラグビーのタイトルを獲得できるチームを目指していきたいです」
2019年シーズンは、2月16日のシャークス戦から始まる。さらにレベルアップし、ファンを喜ばせるヒト・コミュニケーションズ サンウルブズの姿を楽しみに待ちたい。
7月13日(金)、現地時間19:45(日本時間18:45)、オーストラリアのブリスベンにあるサンコープスタジアムで試合はキックオフされた。サンウルブズのSOヘイデン・パーカーが蹴り上げたボールを念願のスーパーラグビーデビューとなったWTB藤田慶和が追う。5分、自陣22mライン内からの攻撃でミスが起こり、レッズボールのスクラム。レッズ自慢のスクラムで圧力を受けると、左WTBエト・ナンブリに前進を許し、最後はFLリアム・ライトにトライを奪われる。
サンウルブズは、自陣から積極的に攻撃を仕掛けたが、ハンドリングエラーが多く、チャンスを逸するチグハグな攻撃が多かった。それでも前半14、16分にパーカーがPGを決めて、6-7とする。パーカーは、この2本を加えて今季48回のプレースキック機会で46回を成功させるという驚異の成功率。23分、ナンブリに再びトライを奪われたが、28分には、ペナルティートライを奪い、13-14とする。CTBマイケル・リトルのトライへのラストパスを、レッズのCTBダンカン・パイアアウアが叩き落とすという反則だった。その後、レッズのFBジョノ・ランスにPGとトライを決められ、13-22と引き離されたが、僅差勝負で後半に入ることができれば勝利の可能性を感じさせるプレーができていた。
サンウルブズにとって厳しい判定がくだったのは、前半37分だった。レッズのSOハミッシュ・スチュワートをタックルで倒したとき、サンウルブズのエドワード・カークがスチュワートの顔面にパンチを振り下ろしたとしてレッドカード(退場処分)を受ける。映像判定の末の決断だった。FWが7人のとなったサンウルブズはその後のスクラムで押し込まれると、PRタニエラ・トゥポウにトライされ、13-29と突き放された。
2試合連続で14人になってしまったサンウルブズは、準備された攻撃ができなくなり、精神的なショックもあってか、後半の最初はミスが連鎖する。11分には、自陣からの攻撃中にリーチがレッズのパイアアウアにボールをもぎ取られ、ナンブリにこの日2本目のトライを奪われる。その後2トライを追加された時間帯は、集中力が切れているように見えた。後半25分でスコアは、13-48。このまま加点される流れかと思われたが、ここからサンウルブズの反撃が始まる。
後半16分に投入されたSH田中史朗が変幻自在のパスワークでレッズのディフェンスを翻弄し、後半11分にヴィリー・ブリッツに代わって出場した姫野和樹はタックルを弾きながら前進を続けた。32分、CTBマイケル・リトルと交代出場のFLラーボニ・ウォーレンボスアヤコで左タッチライン際を攻略。ゴール前でレッズがボールをタッチに出しところで、リトルがクイックスローイングで投げ入れ、交代出場のCTB中村亮土がトライ。難しいゴールをパーカーが決めて20-48とする。直後の攻防では、リーチが相手のキックに対するカウンターアタックでまっすぐ突進。ダブルタックルを受けるも、チームの気持ちを奮い立たせた。35分、LOヴィンピー・ファンデルヴァルトのパスを受けたHOジャバ・ブレグバゼがトライし、27-48。なおも攻め続けたが、スコアは動かずノーサイドとなった。
「(カークにレッドカードが出たことについては)我々にとって厳しい判断となりました。2週連続でこのような事が起こり、サンウルブズの本来のパフォーマンスが出せなかった事は非常に残念です」とトニー・ブラウンヘッドコーチ代行はコメントした。15人が緻密に連携することでトライを生み出すサンウルブズにとって、1人欠けることは致命傷になる。規律を守ることについては、今回の判定を不運と考えずに意識を徹底する必要がある。前向きに考えれば、予期せぬ事態の対応について学べたといえる。この経験を無駄にしてはいけない。
スーパーラグビー参戦3年で、毎年1勝ずつ多く積み上げての3勝13敗。秩父宮ラグビー場での今季最終戦でファンを喜ばせたレッズ戦勝利。続く香港ではストーマーズの終了間際のドロップゴールによる劇的な逆転勝ち。シンガポールでの初勝利(ブルズ戦)もあった。ブラウンヘッドコーチ代行はシーズンを振り返って次のようにコメントした。「チームはシーズンが深まるにつれて、高いパフォーマンスを発揮できる集団になっていきました。日本人の選手だけでなく、これまでスーパーラグビーレベルで力を発揮できていなかった外国人選手達も、サンウルブズに来て素晴らしいハイパフォーマンスをみせてくれました。ラグビー自体の質も上がり、そして世界最高のチームに対して高いレベルで対抗できるようになりました。将来的にはこういったチームを倒し、スーパーラグビーのタイトルを獲得できるチームを目指していきたいです」
2019年シーズンは、2月16日のシャークス戦から始まる。さらにレベルアップし、ファンを喜ばせるヒト・コミュニケーションズ サンウルブズの姿を楽しみに待ちたい。