スーパーラグビー2017 ROUND 15 ライオンズ vs. ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ
マッチレビュー
コラム7/3(月) 12:26
日本時間7月1日(土)深夜24:15、南アフリカ共和国のヨハネスブルグでスーパーラグビー2017第15節、ライオンズ vs. ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズが行われた。約1カ月の休止期間を経て、満を持しての試合となったサンウルブズだが、南アフリカグループ首位に立つライオンズに終始圧倒され、94-7という大敗を喫した。
試合直前になってリザーブの松島幸太朗が体調不良でメンバーから外れるなど、6月のテストマッチシリーズで疲れのある日本代表組を休ませての戦いだった。それでも序盤のサンウルブズは、SO小倉順平の好キックでライオンズ陣深く攻め入り、連続攻撃を仕掛ける。上体を抱えてボールを出させないようにするライオンズの力強いタックルを受けながらも、なんとかボールをキープ。ゴールに迫った前半3分、ブレイクダウン(ボール争奪局面)でボールを奪われて一気に切り返され、ライオンズのトライゲッターであるWTBコートナル・スコーサンにインゴールに走り込まれる。ここはトライ寸前WTB中鶴隆彰がなんとか戻ってノックオンを誘い、ピンチを防いだ。しかし、直後のサンウルブズボールのスクラムは猛烈なプッシュを浴びてボールを奪われ、SHロス・クロニエに先制トライを奪われてしまう。
前半のスクラムは、その後も走るように押し込まれることが多くなる。この精神的ショックは大きかっただろう。10分にもマイボールスクラムで圧力を受け、ボールを持ち出したFLヤコ・クリエルに3人、4人とタックルに入りながら止めきれずに2つめのトライを献上した。その後、CTB山中亮平のフラットなパスで中鶴がタッチライン際を快走したものの、次のフェイズでSH内田啓介からFL金正奎へのパスがスローフォワードと判定されるなど惜しいシーンが続いた。
18分、再びスクラムで押し込まれ、7人制南アフリカ代表でリオ五輪にも出場したFLクワッガ・スミスに約40mを走り切られて、21-0と引き離された。スミスは、180cm、89kgのFL。WTB並みのスピードを持つ小型選手を機能させているところが、ライオンズの強さの1つだろう。
その後は、WTB後藤輝也のトライセービングタックル、ディフェンス突破、金正奎のジャッカルなど好プレーもあったが、26分にクワッガ・スミス、38分にはSOエルトン・ヤンチースにトライを奪われ、前半を終えた時点で、35-0と差をつけられた。
後半はメンバー交代もあってスクラムは安定したが、ラインアウトではプレッシャーを受け、後半4分にはモールを押し込まれてトライを許し、以降は交代出場のSOファフ・デクラークのスピーディーなラン、的確なロングパスなどでディフェンスラインを切り裂かれ、次々にトライを奪われた。
サンウルブズ唯一のトライは、後半22分、交代出場のFBリアン・フィルヨーンのカウンターアタックからチャンスを作り、LOヘル ウヴェがポスト下に持ち込んだもの。交代出場のSH茂野海人を軸に早いテンポで攻撃を継続してのトライだった。
STATSを見ると、失トライは「14」。ボールを持って前進した距離(ゲインメータ)は、サンウルブズが303mだったのに対して、ライオンズは驚異の1,214m。ディフェンスのいないスペースに的確に放たれるパスに対して、スピーディーに走り込み、大きなFW選手が小さなショートステップを使いながらタックルを外すなど、ライオンズのスキルの高さを強烈に印象付けられる戦いだった。加えて、スクラムのプッシュ、密集サイドの突破ほか、ライオンズのプレーはすべてに瞬発力を感じた。小さなサンウルブズこそ、相手に感じさせなければならないものだろう。
サンウルブズのフィロ・ティアティア ヘッドコーチは次のようにコメント。
「ライオンズは、本当にすばらしいチームになっています。それに比べて今夜の我々のパフォーマンスは残念なものでした。タックルはミスが多く、スクラムは強固ではなく、ラインアウトではプレッシャーをかけられてしまいました。我々は十分に戦えるだけのたくさんのスコッドを抱えているのですから、1カ月間ブレイクがあったことは言い訳にはなりません」。
金正奎は「実力の差を見せつけられ、率直に悔しいです。80分間の中で戦えるシーンはたくさんありましたが、自分たちのミスで、簡単にトライを取られてしまいました」とコメント。後半16分に交代出場した松田力也はほろ苦いスーパーラグビーデビューとなった。「アタックを継続して、スピードあるラグビーをするために、自分でリードしようと思い試合に入りました。継続することができれば、トライにも繋がりましたし、チャンスももっと作ることができたと思います」。
ゲームキャプテンを務めたNO8ヴィリー・ブリッツはフルタイム、体を張り続けていた。ライオンズを称賛しながらも、「タックルができなければラグビーの試合で勝つことは不可能です。次の試合に向けても、まずはタックルを決めることに尽きると思います」と語った。
7月8日のストーマーズ戦に向け、今一度、チームとして個人として、戦う姿勢を見つめ直してもらいたい。
先発LOサム・ワイクスは、前半29分で脳震とうのチェックのため退場することになったが、この日でスーパーラグビー100キャップを達成した(2008年からプレーしたフォースでの試合出場も含めての記録)。
©JSRA photo by K.Demura
ROUND15 日本時間:7月2日(日)0:15
ライオンズ 94-7 ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ
エミレーツエアライン・パーク, ヨハネスブルグ
・試合詳細
試合直前になってリザーブの松島幸太朗が体調不良でメンバーから外れるなど、6月のテストマッチシリーズで疲れのある日本代表組を休ませての戦いだった。それでも序盤のサンウルブズは、SO小倉順平の好キックでライオンズ陣深く攻め入り、連続攻撃を仕掛ける。上体を抱えてボールを出させないようにするライオンズの力強いタックルを受けながらも、なんとかボールをキープ。ゴールに迫った前半3分、ブレイクダウン(ボール争奪局面)でボールを奪われて一気に切り返され、ライオンズのトライゲッターであるWTBコートナル・スコーサンにインゴールに走り込まれる。ここはトライ寸前WTB中鶴隆彰がなんとか戻ってノックオンを誘い、ピンチを防いだ。しかし、直後のサンウルブズボールのスクラムは猛烈なプッシュを浴びてボールを奪われ、SHロス・クロニエに先制トライを奪われてしまう。
前半のスクラムは、その後も走るように押し込まれることが多くなる。この精神的ショックは大きかっただろう。10分にもマイボールスクラムで圧力を受け、ボールを持ち出したFLヤコ・クリエルに3人、4人とタックルに入りながら止めきれずに2つめのトライを献上した。その後、CTB山中亮平のフラットなパスで中鶴がタッチライン際を快走したものの、次のフェイズでSH内田啓介からFL金正奎へのパスがスローフォワードと判定されるなど惜しいシーンが続いた。
18分、再びスクラムで押し込まれ、7人制南アフリカ代表でリオ五輪にも出場したFLクワッガ・スミスに約40mを走り切られて、21-0と引き離された。スミスは、180cm、89kgのFL。WTB並みのスピードを持つ小型選手を機能させているところが、ライオンズの強さの1つだろう。
その後は、WTB後藤輝也のトライセービングタックル、ディフェンス突破、金正奎のジャッカルなど好プレーもあったが、26分にクワッガ・スミス、38分にはSOエルトン・ヤンチースにトライを奪われ、前半を終えた時点で、35-0と差をつけられた。
後半はメンバー交代もあってスクラムは安定したが、ラインアウトではプレッシャーを受け、後半4分にはモールを押し込まれてトライを許し、以降は交代出場のSOファフ・デクラークのスピーディーなラン、的確なロングパスなどでディフェンスラインを切り裂かれ、次々にトライを奪われた。
サンウルブズ唯一のトライは、後半22分、交代出場のFBリアン・フィルヨーンのカウンターアタックからチャンスを作り、LOヘル ウヴェがポスト下に持ち込んだもの。交代出場のSH茂野海人を軸に早いテンポで攻撃を継続してのトライだった。
STATSを見ると、失トライは「14」。ボールを持って前進した距離(ゲインメータ)は、サンウルブズが303mだったのに対して、ライオンズは驚異の1,214m。ディフェンスのいないスペースに的確に放たれるパスに対して、スピーディーに走り込み、大きなFW選手が小さなショートステップを使いながらタックルを外すなど、ライオンズのスキルの高さを強烈に印象付けられる戦いだった。加えて、スクラムのプッシュ、密集サイドの突破ほか、ライオンズのプレーはすべてに瞬発力を感じた。小さなサンウルブズこそ、相手に感じさせなければならないものだろう。
サンウルブズのフィロ・ティアティア ヘッドコーチは次のようにコメント。
「ライオンズは、本当にすばらしいチームになっています。それに比べて今夜の我々のパフォーマンスは残念なものでした。タックルはミスが多く、スクラムは強固ではなく、ラインアウトではプレッシャーをかけられてしまいました。我々は十分に戦えるだけのたくさんのスコッドを抱えているのですから、1カ月間ブレイクがあったことは言い訳にはなりません」。
金正奎は「実力の差を見せつけられ、率直に悔しいです。80分間の中で戦えるシーンはたくさんありましたが、自分たちのミスで、簡単にトライを取られてしまいました」とコメント。後半16分に交代出場した松田力也はほろ苦いスーパーラグビーデビューとなった。「アタックを継続して、スピードあるラグビーをするために、自分でリードしようと思い試合に入りました。継続することができれば、トライにも繋がりましたし、チャンスももっと作ることができたと思います」。
ゲームキャプテンを務めたNO8ヴィリー・ブリッツはフルタイム、体を張り続けていた。ライオンズを称賛しながらも、「タックルができなければラグビーの試合で勝つことは不可能です。次の試合に向けても、まずはタックルを決めることに尽きると思います」と語った。
7月8日のストーマーズ戦に向け、今一度、チームとして個人として、戦う姿勢を見つめ直してもらいたい。
先発LOサム・ワイクスは、前半29分で脳震とうのチェックのため退場することになったが、この日でスーパーラグビー100キャップを達成した(2008年からプレーしたフォースでの試合出場も含めての記録)。
©JSRA photo by K.Demura
ROUND15 日本時間:7月2日(日)0:15
ライオンズ 94-7 ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ
エミレーツエアライン・パーク, ヨハネスブルグ
・試合詳細