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スーパーラグビー2017 ROUND 9 ハイランダーズ vs. ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ
マッチレビュー

コラム4/24(月) 10:51
ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズのニュージーランドツアー2戦目は、同国南島最南端の町・インバーカーギルで行われた。相手は昨年までジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチが指揮を執っていたハイランダーズ。オールブラックスのSHアーロン・スミス、FBベン・スミスという二枚看板に加え、オールブラックスでも屈指の突破力を持つCTBマラカイ・フェキトア、WTBワイサケ・ナホロ、196cm/113kgながら抜群の運動量を誇るFLリーアム・スクワイアらそうそうたるメンバーが揃い、気迫あふれるプレーでサンウルブズを迎え撃った。

キックオフ直後からハイランダーズは前に出るディフェンスでサンウルブズにプレッシャーをかけてきた。前半2分、WTB中鶴隆彰がハイパントの競り合いで頭部から落下し、退場を余儀なくされた直後、ミスボールを拾われ、CTBマラカイ・フェキトアに先制トライを許す。その後のキックオフからはサンウルブズが攻勢に出て、LOヘル ウヴェがタックラーを振り切ってゴールラインに迫った。ハイランダーズの選手たちも素早くディフェンスに戻る。ゴール前のラックからのこぼれ球を拾って、CTBウィリアム・トゥポウがトライしたが、映像判定の結果、ラックの後ろにいたSH田中史朗の足に当たって前にはねたボールを拾ったアクシデンタル・オフサイドという判定で、トライを獲り逃した。

激しく前に出るディフェンス、ボールを奪った瞬間にチャンスを広げる無駄のない動き、ピンチに陥ったときのディフェンスの素早い戻り。ほんの5分ほどの攻防の中に、ハイランダーズの各選手の意識の高さが凝縮されていた。
それでも、この日のサンウルブズは粘り強く守り、ボールをキープし、拮抗した戦いを繰り広げる。前半11分には、SO田村優がPGを決めて、7-3。2本目のトライを奪われたのは前半34分。キックの競り合いでハイランダーズにボールをキープされ、FLリーアム・スクワイアにインゴールに走り込まれた。そして、ここから後半13分までの間に4トライを追加されてしまう。前半終了間際のSHアーロン・スミスのトライは、ゴール前で何度もタックルしながら、そのたびに湧き出るようなサポートプレーヤーを止めきれず、後半2分のトライでは、ゴール前でSHアーロン・スミスのフラットなパスに対してトップスピードで切れ込むCTBマット・ファデスに対応できなかった。

FL三村勇飛丸がタックル後に相手ボールを奪い、HO庭井祐輔がこぼれ球に飛び込んでピンチを救うなど、各選手が体を張って対抗したが、この20分間の失点で勝負は決まった。
後半7分には、SH田中史朗のパスにNO8ヴィリー・ブリッツが走り込んで抜け出し、最後はLOサム・ワイクスがゴールラインを越えたが、ハイランダーズのFLディロン・ハントのタックルでノックオン。その後もテンポよく連続攻撃しながら、パスをインターセプトされて独走トライを許すなど点差を広げられた。
しかし、後半18分にヴィリー・ブリッツがトライしてからはサンウルブズが圧倒的に攻めた。25分、相手陣深く攻め込み、田村がディフェンスのタイミングをずらすパスをタッチライン際に送り、交代出場のラーボニ・ウォーレンボスアヤコが右コーナーに飛び込む。さらにゴールを目指して攻めたが、トライを追加することはできなかった。

最終スコアは、40-15。試合のスタッツ(統計数値)を見ると、ボールを持って突進した「ボールキャリー」は、サンウルブズが「159」、ハイランダーズは「116」。パスの回数は「219」対「149」、ディフェンス突破数は「27」対「15」、つまり、サンウルブズはハイランダーズより多く攻め、数多くのパスをし、ディフェンスを突破していた。それでもトライ数は「2」対「6」。サンウルブズが目指すのは、賢く効率よくトライを奪うことなのだから、同じスタイルのハイランダーズに手本を見せられたような試合だった。

田中史朗は、スーパーラグビー50試合出場という節目だった。そのうち46試合に出場した古巣・ハイランダーズとの戦いを終え、次のようにコメントした。
「(ハイランダーズと戦えて)すごく興奮しましたし幸せでした。今日は自分のいたチームに対して、何らかのプレッシャーを与えたいと思って挑みました。ディフェンスの面はよかったと思います。(先週の)クルセイダーズ戦の時よりも、ひとりひとりが自分の仕事を意識してできていました。少し気を抜いたところでボールを取られていたので、(次週の)チーフス戦では気を抜かないように、全員でコミュニケーションを取って補っていければと思います」

ニュージーランドツアー3連戦の最終戦(4/29・土祝・チーフス戦)で、さらに成長した姿を見せてもらいたい。

写真:ゲインライン突破をはかるウィリアム・トゥポウ 
©Photo by Teaukura Moetaua/Getty Images
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