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Round14 ブランビーズ戦マッチレビュー

コラム5/29(日) 19:00

青く分厚い壁がサンウルブズの前に立ちはだかった。攻めてもせめても穴が開かない。点差だけなら、第8節のチーターズ戦(17-92)のほうが大きい。しかし、試合を支配されたという意味では、今回のブランビーズ戦が一番かもしれない。スーパーラグビーの優勝を狙うチームの実力をまざまざと見せつけられる試合だった。

オーストラリアのキャンベラにあるGIOスタジアムで、日本時間の18:45(現地時間19:45)にキックオフ。観客は、10,479人。立ち上がりは、ディフェンスで激しく前に出て圧力をかけ、CTBデレック・カーペンターのタックルの直後に、CTB立川理道がボールを奪い取るなど互角の好勝負を繰り広げた。流れを変えたのは、ブランビーズの至宝デイヴィッド・ポーコックだった。今季21回のターンオーバーに成功しているオープンサイドFLは、サンウルブズのボールキャリアーが倒れた瞬間、素早く体勢を低くして、ボールを自陣側に引き寄せた。そのボールを素早く防御背後へキックしたブランビーズは、かつて釜石シーウェイブスでプレーしたFLスコット・ファーディーがトライをあげる。

前半16分、正面のPGチャンスを狙わず、タッチキックからラインアウトで攻めることを選択したシーンはブランビーズの明快な目的を表していた。3トライ以上の差をつけてボーナス点を獲得する勝利である。オーストラリアカンファレンスで首位を走るワラターズは、前日、総合首位のチーフスを下して勝ち点を「35」としていた。6点差で追うブラビーズとしては、勝利4、ボーナス点1の計5点をあげて、ついていかなくてはいけない。そんなシチュエーションもあってこの日のブランビーズは最後まで集中力を切らさなかった。前半18分、そのラインアウトのモールから、HOスティーヴン・モーアがトライを奪う。22分には、サンウルブズ陣中盤のラインアウトからモールを押し込み、モールの背後に隠れていたSHマイケル・ドウセットが、左サイドにボールを持って出たポーコックからパスを受けて、3本目のトライ。懸命にディフェンスするサンウルブズをあざ笑うかのように、いとも簡単にトライを重ねた。

対するサンウルブズは、前半終了間際、モールを押し込んでゴールラインを越えたかに見えたが、ボールを押さえられず。このモールの中で軸になって押し込んでいた大野均が、相手選手へ後頭部をぶつけたとの反則でシンビン(10分間の一時退場)となる。14人になったサンウルブズは、後半に入ると密集サイド周辺を執拗に前進し、ボールを保持して攻撃を連続する。後半3分には、FB笹倉康誉に代えて前節まで全試合に先発していたルアン・フィルヨーンを投入し、その後も、FL安藤泰洋、HO木津武士らを次々に投入。彼らの奮闘もあってボールを保持して戦う時間が多くなる。

しかし、攻撃の精度は圧倒的にブランビーズのほうが高かった。ボール保持者がまっすぐ走ってタックラーを引きつけ、囮のランナーを使いながら、正確なパスでディフェンスを翻弄する。ディフェンス面でも必死にボールをキープするサンウルブズに圧力をかけ続け、テンポの速い攻撃を許さなかった。サンウルブズの攻撃がようや実ったのは後半27分のことだ。波状攻撃を仕掛けながら、交代出場のSOトゥシ・ピシが相手陣深く攻め込んだところでボールをこぼし、これを大きく蹴り返される。チャンスは潰えたかに見えたが、右タッチライン際に戻っていた安藤がボールを拾ってフィルヨーンにパス。フィルヨーンは、防御背後へショートパントを蹴り、再度足にひっかける。すると、ボールはブランビーズのゴール前に転々。FLリアキ・モリと、WTB山田章仁が走り込み、最後は山田がこぼれ球を拾って右コーナーにトライし、5-54とした。山田は個人トライ記録を9に伸ばし、トライランキング単独トップの座を守った。

最終的には5-66という大敗。安定したセットプレー、ボールを動かす各選手の高いスキル、攻守の反応スピードの速さ、整理された組織プレーと差を見せつけられる内容だった。「あと3試合残っているので、(6月に)チームを立て直して臨みたい」(堀江翔太キャプテン)。6月のスーパーラグビーは、国代表同士のテストマッチ期間のために休止される。再開は、7月2日、秩父宮ラグビー場でのワラターズ戦だ。

©JSRA photo by H.Nagaoka

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