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Round13 レッズ戦マッチレビュー

コラム5/22(日) 14:20

五郎丸歩と山田章仁がキックを追って競り合い、堀江翔太が五郎丸にタックル。世界のラグビーファンが注目するスーパーラグビーの舞台で、昨秋のラグビーワールドカップで世界を驚かせた日本代表選手が交錯した。サンウルブズがトライを奪われているのに、そのゴールを五郎丸に決められると、少し嬉しくなってしまう人もいただろう。南アフリカ戦勝利によって、日本ラグビーの歴史が変わった。日本代表選手達の成し遂げたことの大きさを改めて感じる試合だった。

サンコープスタジアムの観客は、19,073人。現地の日本人、日本から応援に向かったサポーターも多かった。サンウルブズでは、先発の三木正貴、木津武士、日和佐篤、立川理道、山田章仁、リザーブの堀江翔太、稲垣啓太、大野均、田村優、レッズでは、ツイ ヘンドリック、五郎丸歩が先発し、計11名のRWC日本代表メンバーが一堂に介した。

前半5分、レッズFB五郎丸歩が先制PGを決める。レッズは自慢のスクラムでサンウルブズに圧力をかけ、15分には、ゴール前のラインアウトからNO8カーティス・ブローニングがトライを奪い、10点を先取した。スクラム、モールの圧力は、この後もサンウルブズを苦しめる。しかし、サンウルブズは短いパスにスピードをつけて走り込む攻撃(アタック)で対抗し、23分にCTBデレック・カーペンターがトライを返す。このアタックは見事だった。FBリアン・フィルヨーンのカウンターアタックから、パスをつなぎ、FLリアキ・モリらが大きくゲイン、レッズ陣の22mライン内に侵入すると、SH日和佐がラックから素早くパスアウト、SOトゥシ・ピシのパスを受けたHO木津武士はタックルされる寸前に素早く左へパス、カーペンターがインゴール左中間に飛び込んだ。これで、スコアは、10-7。

このアタックの中で、LOティモシー・ボンドが膝の前十字靭帯を痛めてしまい、退場となったが、代わって入った大野均は持ち前の運動量と素早く前に上がるディフェンスでチームに活力を与えた。その後は一進一退の攻防となり、17-13とレッズの4点リードで前半を終えた。後半も同じような試合展開が続いた。レッズが得意のスクラム、ラインアウト、モールを軸に攻めれば、サンウルブズは短いパスを連続させてディフェンスを破る。

レッズに1トライを追加された後半9分、サンウルブズは、HO堀江翔太、PR浅原拓真、SH矢富勇毅というフレッシュな選手を投入する。11分、自陣のラインアウトから、CTB立川理道が前進、中央のラックから素早く左へ展開し、タッチライン際を山田が快走、タックルされながらボールを浮かすと、サポートしたピシが手首で弾くようなパスをつなぎ、カーペンターがトライ。22-20に迫った。PGを追加されたが、16分、FLリアキ・モリが、五郎丸のタックルを受けながらも右コーナーにトライ。25-25の同点に追いつく。浅原はスクラムで健闘、堀江はリアキ・モリのトライへのパスを放つなどスキルの高さを見せ、矢富はパスをさばき、自らも力強く前に出た。

勝敗を分けたのは、モリのトライ後の数分だった。サンウルブズが再び攻め込み、22mライン内に侵入するかしないかのところで、矢富が激しいタックルを受けてボールをこぼし、一気に切り返される。連続攻撃に走り続けていたサンウルブズの選手達にはこれを追う足の力が残っていなかった。この日、何度も大幅ゲインを許したCTBサム・ケレビに走られ、最後は、202cmのLOキャディン・ネヴィルにトライを奪われ、32-25とされる。これが決勝点となった。その後もトライチャンスを作ったサンウルブズだが、ゴール前のミス、反則などで獲りきれず、さらにPGを追加されて敗れた。

またしても惜敗。終わってみれば、レッズは得意とするセットプレーで圧力をかけることに成功し、サンウルブズは攻撃面では魅力あふれるプレーを披露したものの、細かなミスに泣いた。「残念な結果です。しかし、次につながるいい反省が見つかりました。学んで次に生かしたい」。この試合のキャプテンを任された立川理道はそうコメントした。防御を崩して前に出たときに、パスをつなぐべきか、ボールをキープすべきなのかといった判断を的確にし、いかにトライまで持って行くか。スクラム、ラインアウトは引き続きの課題。次週は、このままオーストラリアに残り、同国カンファレンス2位のブランビーズとの対戦だ。レッズよりも怖いランナーが揃っており、簡単にボールを渡さず、いかにマイボールをキープして攻めきることができるかが勝つための鍵になりそうだ。

©JSRA photo by H.Nagaoka

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