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スーパーラグビー2017 ブルズ vs ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ
マッチレビュー

村上晃一2017.03.19

スーパーラグビー2017 ブルズ vs ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ<br>
マッチレビュー
ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズのスーパーラグビー今季4戦目は、3月17日(日本時間18日午前2:00)、南アフリカ共和国のプレトリアで行われ、健闘むなしく、過去3度の優勝を誇るブルズに敗れた。

試合は、現地時間午後7:00、サンウルブズSOヘイデン・クリップスのキックオフで始まった。序盤はサンウルブズがクリップスを軸にボールを左右に大きく展開して攻め込み、3分、そのクリップスが先制PGを決める。屈強なブルズのFWに対してスクラムは安定していたが、素早くボールを出し、ブルズ防御網にプレッシャーをかけていく。10分、ゴール前に攻め込まれ、ラインアウトからモールを組まれたが、これを低い姿勢で押しとどめ、ターンオーバーを勝ち取る。ピンチ脱出かと思われたが、直後のスクラムからの展開でハンドリングエラーがあり、そのボールを拾われ、ブルズCTBヤン・サーフォンテインにトライを奪われてしまう。試合終盤に追い込んだことを思えば、この失点は痛恨だった。

その後、PGと1トライを追加されたが、HO庭井祐輔を軸にしたスクラムでは押し勝ってペナルティーを誘う場面もあり、失点後のキックオフも毎回種類を変え、セットプレーからの攻撃にもさまざまな工夫が凝らされていた。
サンウルブズが観客を驚かせたのは前半40分だった。相手陣深く攻め込みながら、タックルされた後にボールを離さないノット・リリース・ザ・ボールの反則を取られた直後のことだ。ブルズが陣地挽回を狙って大きく蹴ったキックは外に出ず、自陣22mライン手前の右タッチライン際で、サンウルブズWTB中鶴隆彰がこれをキャッチ。グラウンド中央のFB江見翔太にパスを送る。江見は、ブルズのディフェンスが整っていないと見るやカウンターアタックを仕掛け、左方向に数回ステップを踏みながらハーフウェイライン付近までボールを運んだ。ここに走り込んできたのが絶好調のWTB福岡堅樹だ。ハーフウェイライン直前でパスを受けた福岡は、ブルズ陣に躍り込むと、ディフェンダーの前で減速した刹那、急加速し、そのまま走りきって左コーナーに飛び込んだ。加速した瞬間、あきらめ顔になったディフェンダーの姿が驚異のスピードを表現していた。サンウルブズファンの胸のつかえをスッキリさせるような、福岡の今季4トライ目だった。

前半を終えて、17-14とブルズのリードはわずか3点。サンウルブズにも十分に勝機があった。その上、後半開始直後には、ブルズのFLレナルド・ボスマがサンウルブズのFLエドワード・カークの顔面に腕を振るうハイタックルでレッドカード(退場)を受ける。本来であればサンウルブズが有利になるはずなのだが、ブルズはボールを大きく動かすことを避け、キックで地域を取ってセットプレーを多くするなど堅実に戦い始める。一方、サンウルブズは「(ブルズよりも)人数が1人多くなって、逆にトライを取ることを意識しすぎた」(カーク)という言葉通り、思い切って連続攻撃を仕掛けながらパスの出し手と受け手の連携が悪く、何度もチャンスをつぶした。

ブルズは逆にチャンスを確実にものにする。46分、ゴール前のフリーキックからの速攻でLOジェイソン・ジェイキンズがトライ、65分にはサンウルブズ陣中盤でのラインアウトからCTBサーフォンテインが縦に走り込んでトライ。34-14と点差を広げて勝負を決めた。サンウルブズは、自陣のミス、反則で相手にチャンスを与え、セットプレーの1次攻撃で簡単にトライを奪われる悪弊も改善されていなかった。
71分には、交代出場のSH茂野海人が素早いパスさばきでディフェンスを翻弄し、カークがトライをあげ、終了間際にもリアキ・モリがゴールラインに迫り、いったんはレフリーがトライを認めたが、その後の映像判定でノックオンと判定されてノーサイドとなった。 

フィロ・ティアティア ヘッドコーチは、いつものように前向きにコメント。「1人少ないブルズはスマートに戦いました。ブルズは伝統的に強いパックのチームです。サンウルブズのFW陣は最大限の努力を見せてくれましたし、BK陣も素早くボールを回すスタイルで、自分たちの強みは出せていたと思います」。
3試合連続でトライをあげた福岡堅樹は自分たちの戦いを冷静に振り返った。「結果が全てです。いいプレーもありましたが、ミスが起きて勝てないのが、今の自分たちの実力であり足りないところ。コミュニケーションの部分でもまだまだ足りないし、ディフェンスでしっかり前に上がる分、そこで穴ができた場合に修正しきれていません」。
 
4連敗となってしまったが、セットプレーのディフェンス、つなぎのミスなど課題は明確であり、次戦に向けて修正を図ってもらいたい。うれしいニュースは、前節のリアキ・モリに続いて、マンオブザマッチに江見翔太が選ばれたこと。福岡のトライにつながるカウンターアタック、オフロードパスなどの活躍が評価された。「勝って選ばれたかった」と肩を落とす江見だが、試合前から現地のメディアが注目選手にあげるなど、スーパーラグビーで通用する潜在能力の高さを見せつけている。江見のほかにも頼もしい選手は着実に増えており、次戦(3/25・土・19:55KO@シンガポール・ストーマーズ戦)に向けて、チームのさらなる成長を期待したい。

試合詳細
写真:マンオブザマッチに選ばれた江見翔太のアタック
©JSRA photo by K.Demura