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スーパーラグビー2019 ROUND 13 vs ブランビーズ text by 村上晃一

コラム5/13(月) 12:00
ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズは、5月12日(日)、オーストラリア・キャンベラのGIOスタジアムでブランビーズと対戦した。ブランビーズは母の日ということもあり、いつものジャージーにピンクのラインとカーネーションをあしらい、選手の背中に母の名を入れる粋な計らいで臨んだ。サンウルブズは、キャプテンのFLダン・プライアーが怪我から復帰し、今季初めてSO田村優が先発。今季3勝目を目指した。

現地時間16:05(日本時間15:05)、サンウルブズボールのキックオフで試合は始まった。立ち上がりは、サンウルブズが攻勢に出る。田村優のハイパントをCTBジョシュ・ティムがキャッチして、22mライン内へ。いったんはターンオーバーされたが、ラインアウトから再びディフェンス背後へのキックを捕ったティムが突進。最後はFB山中亮平がWTBゲラード・ファンデンヒーファーにパスし右コーナーへ。見事な先制トライと思われたが、ファンデンヒーファーのダウンボールがやや遅れ、先に足がインゴール内でタッチインゴールラインを踏んだという疑いで映像判定。ノートライの結論が出て、先制機を逸した。

その後も連続攻撃を仕掛けてブランビーズ陣に攻め込むサンウルブズだが、前半5分、LOグラント・ハッティングがボールを持って突進した際に足を痛め退場。代わってトム・ロウが入る。その後もサンウルブズのディフェンスはよく機能していたが、ブランビーズ陣深くの攻防からWTBヘンリー・スペイトに抜け出され、CTBテヴィタ・クリンドラニと2人につながれてしまう。最後はスペイトがトライして、0-7。

直後のキックオフで相手陣に入ったサンウルブズは、田村優がグラバーキックを転がし、山中亮平がキャッチして22mライン内に侵入してチャンスを作った。ところが、山中がタックルされた際に相手の膝で頭部を強打して倒れ、ボールはブランビーズのFBトム・バンクスにわたる。ここからつながれると、クリンドラニに独走され、サポートしたSHジョー・パウエルがトライ。SOクリスチャン・リアリイファノのゴールも決まり、瞬く間に0-14とされた。前に出るディフェンスは機能していたが、ディフェンスラインを突破された後は、バッキングアップへ向かう足取りが重かった。

山中に代わってはヘイデン・パーカーが出場し、SOパーカー、インサイドCTB田村、FBジョシュ・ティムという布陣で戦うことになる。前半22分には、ブランビーズが得意とするラインアウトからのモールでゴールに迫られたが、低い結束で耐え、ターンオーバーを勝ち取った。しかし、せっかくの粘りもラインオフサイドの反則で再び攻め込まれ、27分、WTBスペイトに右コーナーにトライされ、0-19と引き離されてしまう。あきらめずに攻めたサンウルブズだが、ハンドリングエラーや、スクラムでの反則などでテンポアップした攻撃ができないまま前半を折り返した。

「前半最初のファンデンヒーファーのトライが認められず、その後 ターンオーバーから相手のソフトトライを取られてしまい、厳しい試合運びとなりました。ブランビーズのモールを止めることはこの1週間準備してきたことなので評価できる内容でした」(トニー・ブラウンヘッドコーチ)

後半の序盤は一進一退の攻防。8分のピンチはダン・プライアーが相手の腕を絞めるタックルでノックオンを誘い、トライを防いだ。しかし、後半12分、サンウルブズ陣10mライン付近のスクラムからのサインプレーでFBトム・バンクスにトライを奪われる(スコアは、0-26)。その後もサンウルブズは相手陣で連続攻撃を仕掛けたが、ブランビーズのディフェンスを崩すことはがきなかった。ゴールラインに迫ると個々の選手が突進を繰り返す単調な攻めに終始。なんとしてもトライを取りたい強い気持ちが裏目に出ているように見えた。

「我々は個々でプレーすると良いラグビーができません。今日は、ゴールラインに近づくほど個々のプレーや個々でのミスが目立つ結果となりました」(ブラウンヘッドコーチ)。懸命に攻めたサンウルブズだが、1トライを追加され、0-33というスコアでの完敗だった。ボールを持って走った回数は、ブランビーズの89回に対して、サンウルブズは144回。ディフェンス突破も19対20で勝っている。それでもディフェンスを崩すことができなかった。アタックはどんな相手にも通用してきたサンウルブズの自信が失われているようで気がかりだ。バッキングアップのディフェンスにも課題が残った。

ブランビーズはこの勝利でオーストラリアカンファレンス首位に浮上。サンウルブズは一週の休みを挟んで、5月25日、秩父宮ラグビー場でレベルズと戦う。今季、秩父宮ラグビー場のファンの前で戦えるのはあと2試合だ。ゴールラインを死守し、勝利への執念を感じる試合を見せてもらいたい。
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