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スーパーラグビー2019 ROUND 12 vs レッズ text by 村上晃一

チーム5/4(土) 10:30
ハイランダーズ戦の完敗から一週間を経て、サンウルブズはオーストラリアの地でレッズと戦った。ブリスベンのサンコープスタジアムで、午後7時45分(日本時間午後6時45分)キックオフ。サンウルブズは立ち上がりからブレイクダウン(ボール争奪局面)にプレッシャーをかけ、レッズ陣でラインアウトを得ると、NO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコを縦に切り込ませ、密集周辺を連続アタック。レッズの反則を誘い、SOヘイデン・パーカーのPGで先制する。 

その後、ゴールラインを背負うピンチを迎えるが、粘り強くトライを防ぎ、レッズのラインアウトからのモールはがっちり止めて反則を誘い、ピンチを脱出する。前半8分、サンウルブズボールのファーストスクラムは、三上正貴、堀江翔太、山下裕史のFW第一列を軸に安定。上々の滑り出しだった。しかし、互いにPGを追加し、6-3で迎えた前半14分、手痛い失点をしてしまう。レッズ陣22mラインまで攻め込んでのラインアウトがやや乱れ、茂野からのパスアウトをレッズNO8スコット・ヒギンボサムにインターセプトされるとSOブライス・ヘガティーにつながれ一気にトライを奪われたのだ。スコアは、6-8。

序盤の攻防で気になったのは、サンウルブズのパスがつながらないことだ。ハンドリングエラーあり、相手に渡すパスありと、どこか慎重さを欠くプレーが続く。アタッキングマインドが裏目に出ていた。それでもサンウルブズは前半19分、レッズ陣中盤の左中間スクラムから、CTBフィル・バーリーが縦に突進。ウォーレンボスアヤコ、ツイがボールを前に運んだあと、右に展開し、パーカーが地面を転がるグラバーキックをインゴールに蹴り込み、走り込んだWTBゲラード・ファンデンヒーファーがトライをあげる。パーカーのゴールも決まって、13-8と逆転。ボールを意図的に動かし、前に出てきた防御の背後をつく理詰めのトライだった。

暗雲が垂れ込めてきたのは前半23分だ。レッズに攻め込まれたラックで三上が横からボールに働きかけて攻撃を寸断する反則でイエローカード(10分間の一時退場)を受ける。14人での戦いを余儀なくされながらも、スクラムで反則を誘って粘るサンウルブズだったが、ようやく15人に戻った矢先、今度はWTBセミシ・マシレワが攻め込まれたラックで手を使って味方側にボールを転がしてしまう。これがレッズのトライチャンスを奪う行為ということでイエローカード。再びサンウルブズは14人になる。

後半3分、レッズPRタニエラ・トゥポウにトライを奪われ、いったんは逆転されたが、6分、パーカーがPGを返して、16-15と再逆転。なんとか粘るサンウルブズだが、直後、マシレワのタックルが相手の首にヒットし、イエローカードの判定となる。イエロー累積二枚は自動的にレッドカード。マシレワはフィールドを後にすることになった。残り30分、サンウルブズは14人で戦う苦境に立つ。その直後、BKの数的不利を突かれてWTBセファ・ナイヴァルにトライを奪われ、16-22とされた。不用意な反則で試合の流れを相手に渡すのは、過去にも何度も課題になったが、フラストレーションのたまる展開の中で悪弊が再び顔を出した。明らかな反則が多いことをレフリーに注意されながら、その後も、ラインオフサイドなどを繰り返してしまう。

レッズSOヘガティにPGを追加され、16-25とリードされた後半21分、パーカーがPGを返して、19-25。後半26分には、レッズのカウンターアタックのパスをファンデンヒーファーがインターセプトしてトライし、26-25と逆転に成功する。レッズからのプレゼントのようなトライを勝利につなぐことができるのか。この時間帯が大事だったのだが、その後も反則はなくならなかった。ついに30分、交代出場のCTB田村優まが、ディフェンス時にボールが出る前に飛び出すオフサイドの判定でイエローカードを受ける。これで13人。その後、モールでトライを奪われ、26-32とリードを奪われた。

最後は、密集の背後で相手の足を放さなかったウォーレンボスアヤコがこの日4枚目のイエローカードを受け、報復でボスアヤコの顔面を蹴ったレッズのハリー・ホッキングスにレッドカードが出る。12人対14人という残念な戦いになった。「我々のプランは相手の素晴らしいプレーヤー達を止め、彼らのラグビーを止めることでした。12 人になってしまうと、そのプランも遂行できなくなり、今日の試合では十分な時間、我々のスタイルを発揮する事ができませんでした。コーチとしては、最後の80 分まで勝つ可能性を残し、ゲームを戦ってくれた選手達を称えたいと思います」(トニー・ブラウンヘッドコーチ)。

統計数値では66%ボールを支配され、数的不利になりながら粘ったが、レッズの拙い攻めに助けられた面もあった。終盤は6点差を追って12人で懸命に攻めたサンウルブズだが、ターンオーバーされて万事休す。反則数は17。イエローカード4枚、レッドカード1枚。規律の乱れを修正できないという、猛省すべき内容での敗北だった。
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