マッチレビュー 2018 ROUND 9 ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ vs. ブルーズ text by 村上晃一



ホームの秩父宮ラグビー場で、声援を送り続けるファンの皆さんに初勝利を届けたい。前半の戦いぶりは、そんな選手の思いを強く感じるものだった。

ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズの今季第7戦は、4月14日(土)、午後12時5分にキックオフされた。キックオフ直後からボールを大きく動かして攻めるサンウルブズは、前半2分、SO田村優がPGを決めて、3-0とリードする。その後もブルーズのディフェンスを振り回し、5分、防御背後への田村のキックパスで左タッチライン際のWTBレメキ ロマノ ラヴァがトライかと思われたが、キックがやや内側に入ってチャンスを逸する。10分、ブルーズ陣22mライン付近でスクラムを得るが、早く体重を相手にかけすぎる反則をとられてしまう。13分、ブルーズのゴールライン前5mのラインアウトからモールを押し込んだが、タッチライン方向に押し出すようにディフェンスされてしまい、ターンオーバー。何度も攻め込みながら、トライチャンスを逃した。

それでもこの日のサンウルブズは、タックラーのリアクションもよく、すぐに立ち上がってディフェンスラインに並び、ほころびを見せなかった。ブルーズにプレッシャーをかけてミスを誘い、相手ボールのラインアウトでもボールを奪取するなど我慢強く戦った。21分、LOグラント・ハッティング、PRクレイグ・ミラーの縦突破で攻め込み、田村がHIA(脳震盪チェック)のため代わりに入っていたSOヘイデン・パーカーが抜け出し、CTBラファエレ ティモシーがトライ。難しいゴールをパーカーが決めて、10-0とリードを広げる。
 


25分、ブルーズ陣10mライン付近でハッティングが倒した相手のボールに仕掛け、反則を勝ち取る。そのPKから速攻。しかし、PR具智元が22mライン内に突進したところで孤立し、ボールを奪われ、長い距離をつながれてトライを許した。試合の流れを振り返れば、ここはPGで13-0としておけば精神的には有利に戦えたかもしれない。その後は息詰まる攻防が続き、前半を10-5と5点リードで折り返した。前半の40分は組織ディフェンスが機能し、ブルーズを上回る82%のタックル成功率を残したほか、FLピーター・ラピース・ラブスカフニを軸にターンオーバーも8度勝ち取り、十分に勝利の可能性を感じさせる戦いだった。
 

「前半はよくプレッシャーをかけていた。あと7点取れていれば、もっとプレッシャーをかけられたでしょう」(ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ)。後半も最初にチャンスを得たのはサンウルブズだった。レメキが蹴り上げたキックオフのボールにプレッシャーをかけ、相手のミスキックを誘ったのだ。22mライン内に入った付近で真上に上がったボールだったが、このボールを確保できず、突き放すチャンスを逃してしまう。7分、ブルーズ陣中盤で得たマイボールスクラムでは、スクラムが崩れる原因になったとしてコラプシングの反則。このPKから陣地を戻され、日本生まれのNO8アキラ・イオアネにトライを奪われる。自信を持って臨んだはずのスクラムで手痛い反則を犯し、最後はこの日再三好タックルを見せていたWTBセミシ・マシレワが一か八かのインターセプトを狙ったのが裏目に出た失トライだった。

もう1トライを追加され、10-19になった20分過ぎ、相手ボールのスクラムを押し込んでマイボールスクラムを勝ち取り、ブルーズ陣の22mライン付近という絶好の位置でスクラムからの攻撃を狙ったが、ここでもスクラムをまっすぐ組まなかった反則をとられてしまった。「スクラムの駆け引きで、レフリーの手が(こちらの反則として)あがってしまったのは悔しいです」(堀江翔太)。



33分には、アキラ・イオアネにインゴールに入られたが、ラファエレとラブスカフニでボールを押さえさせずにトライを防ぐなど、サンウルブズは最後まであきらめないディフェンスを見せた。しかし、ゴールラインを背負ってブルーズの猛攻を受けると、ディフェンスが真ん中に集められてしまう。36分、そのスペースを攻め落とされ、WTBジョーダン・ハイランドの右コーナーへのトライで、10-24と引き離された。
 
試合を通してのポゼッション(ボール保持時間)は、ブルーズが69%で圧倒。サンウルブズはボールをキープして攻めることができなかった。208回という大量のタックルで粘ったが、タックルミスも40回と多かった(ブルーズは80タックル、27ミスタックル)。一人で27タックルのラブスカフニ、18タックルの姫野和樹、何度も相手を押し込んだハッティングに代表される体を張ったディフェンスは感動的ではあったが、個々の能力が高いブルーズに対して防戦一方ではいずれほころびが出る。ボールを保持するためのコンタクト、ブレイクダウン(ボール争奪局面)のスキルにも課題が多いということだろう。これまで苦しんでいたラインアウトは、201㎝のハッティングの存在もあって大幅に改善。成功率は90%だった。

「ディフェンスはよく機能していた。ラインスピードも上げることができていたが、気負いすぎで反則(ラインオフサイド)を取られていたところもある」(ジョセフHC)。ひとつのミス、反則からあっという間にトライを奪われるのがスーパーラグビーだが、改めてそれを痛感する試合だった。だが、ごまかしがきかない相手と戦うからこそ、スーパーラグビーにいる価値はある。サンウルブズは、4月16日よりニュージーランドに遠征し、昨年の王者クルセイダーズ、一昨年の王者ハリケーンズと戦う。声援を送り続けるファンを喜ばせる試合を期待したい。

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