マッチレビュー 2018 ROUND 8 ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ vs. ワラターズ text by 村上晃一


©JSRA photo by H.Nagaoka

ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズの今季第6戦は、4月7日(土)、午後2時15分より、秩父宮ラグビー場で行われた。気温18度、強い風により、観戦にはやや肌寒いコンディションだった。前節のチーフス戦からByeWeek(試合のない週)を経てリフレッシュした選手たちのパフォーマンスに期待が高まったが、序盤でミスが連続し、前半20分で24点を奪われるという苦しい試合になった。


「前半20分で勝負をつけるような気持ちで仕掛けたい」。SHの流大キャプテンは、その言葉通り、自陣でのペナルティーキックからも速攻を仕掛けた。これに反応したNO8姫野和樹らが大きくゲインして観客を沸かせる。前半3分には、SO田村優が左タッチライン際にいたWTBレメキ ロマノ ラヴァにキックパス、蹴った瞬間はトライになるかと思われたが、バウンドが大きく跳ね上がってキャッチできず。その後、ワラターズ陣に10mほど入ったラインアウトでボールをまっすぐ投げ入れられず、ノットストレートの反則。ワラターズボールのスクラムになり、ここから一気にトライを奪われてしまう。
 

ワラターズは右端のスクラムから左オープンに展開して、CTBカートリー・ビールが縦に走り込み、最後は切り札のWTBタンゲレ・ナイヤラヴォロを走らせた。シンプルなプレーだったが、サンウルブズは数的優位を作られた上に、簡単にディフェンスラインが飛び出して、外側のスペースを突かれた。ナイヤラヴォロに対するタックルも甘く、次々に外された。前に出るか待つかの判断、個々のタックルともに課題があり、この後もあっさりと前進を許すシーンが多くなる。


このトライ直後のキックオフではワラターズがキャッチミス。サンウルブズはラインアウトからモールを押し込んで反則を誘い、このペナルティーキックでスクラムを選択する。安定したスクラムから、SH流、CTBマイケル・リトルとボールがわたってトライ。7-7の同点とする。試合の流れでもっとも痛かったのは、前半19分に奪われたトライだろう。ワラターズのCTBカーティス・ロナにトライされて、7-17と10点差で迎えた前半18分、サンウルブズはハーフウェーライン付近のラインアウトから攻め、防御背後へのキックをWTBセミシ・マシレワがキャッチし、FB松島幸太朗、リトルがつなぎ、トライチャンスを作った。しかし、仕留めに入る攻撃でパスミスが出て、そのボールを拾われてトライを奪われてしまった。サンウルブズがトライしていれば、14-17に迫るところを7-24と引き離される痛恨のミスだった。
 

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ホームの観客になんとか勝利を届けたいサンウルブズは、前半23分、自陣から抜け出したリトルをサポートしたLOサム・ワイクスがトライを返し、前半28分には田村がPGを決めて17-24と1トライ1ゴール差に迫る。しかし、勝利の可能性を感じさせたのはここまで。35、40分と連続トライを許し、17-38と突き放されてしまう。後半13分にはマシレワ、26分には姫野がトライして観客席を大いに沸かせたが、ディフェンスの甘さは最後まで解消されなかった。試合を通してのタックルミスは、ワラターズの23に対して、サンウルブズは33。全員が献身的に走ってゴールラインを死守するワラターズの姿は見習うべきものだった。


「前節の試合よりも、いい準備ができて、良いプレーもできた。たくさんチャンスを作れたので、トライを獲り切れていれば内容は変わったと思う」(田村優)、「ミスで完全にペースをつかむことができなかった」(松島幸太朗)。多くの選手から攻撃時のミスによって流れが悪くなったというコメントが出た。一方で、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは「選手たちは全身全霊でコミットしていた」とした上でディフェンスの課題について言及した。「FWがラックに寄りすぎてディフェンスが整わなかったところもあった。一対一のタックルの精度も上げなくてはいけない。ターンオーバーされた時の攻守の切り替えも良くなかった」。3本のミスがあったラインアウトについては「2回はノットストレート、1回はオーバーボール(誰もキャッチできずに後方に抜けていくもの)。訓練あるのみ」と語った。

 
高校生以来のNO8でのプレーとなった姫野は、再三持ち前の突進力を披露し、リトルも思入りの良いランで何度もボールを前に運んだ。前向きに語れるプレーも多かっただけに、失点の多さが気にかかる。次週は、昨年7月に勝利したブルーズ(ニュージーランド)を秩父宮ラグビーで迎え撃つ。「来週こそ、ホームのファンの前で勝ちたい」(流キャプテン)。その言葉を実現させるためにもディフェンスの修正が急務だ。

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