野澤武史さんが試合STATSをゴリ解説!
基本編①~TEAM & PLAYER STATS~

ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズの公式サイトには、選手のプロフィールやニュース、試合結果など、さまざまな記事が紹介されていますが、試合内容を数字で振り返ることができるスタッツ(統計数値)も詳しく紹介されています。専門的な領域に思われがちですが、基礎的な知識を持って見ると、より深く試合を楽しむことができます。
日本ラグビーフットボール協会リソースコーチで、テレビのラグビー解説でもお馴染みの野澤武史さんに簡単なスタッツの見方、楽しみ方を教えてもらいましょう。
(聞き手・文:村上晃一)

ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ STATSページ
「試合日程・結果」>各試合の「試合詳細」>「速報/STATS」


スタッツ(STATS)のおもしろさとは?

スタッツのおもしろさは、数字は語る、数字はウソをつけないこと。
言葉で「こんなチームを作っています」とその特徴を表現しても、数字を見るとまったく違うことがあります。リアルなラグビーの試合を見ることに加え、その印象を持って数字で振り返ると、とても楽しいですね。
僕はスーパーラグビーの試合スタッツをチームごとに表にまとめて、チームの戦い方の傾向を見ています。継続して数字を見て行くと、感覚的な話だけではなく、「このチームは一試合のうちで20回以上キックを蹴っていると勝利に近づきます」という言い方ができるようになります。


用語解説&注目ポイント

ここからは実際にサンウルブズ公式サイトの「STATS」ページのタブごとに、どの数値に注目すべきかを教えましょう!
参考:ROUND7 ブルズ戦

TEAM STATS

攻撃

「トライ」=トライ数
「ゲインメータ」=ボールを持って進んだ距離
「ボールキャリー」=ボールを持って走った回数
「ディフェンス突破数」=相手とコンタクトしながらも前に出た回数
「クリーンブレイク」=タックラーに触らせずに抜け出した回数
「パス」=パスをつないだ数
「オフロードパス」=タックルされた時にラックなどを作らずにパスをつないだ数
「被ターンオーバー」=攻撃中にターンオーバーされた回数

僕がこの中で注目しているのは、「ゲインメータ」と「クリーンブレイク」です。
この2つの数字が攻撃の量と質を表しており、勝利との相関関係が強いからです。

守備

ここでは「タックル」「タックルミス」の両方の回数を見てほしいです。
タックルが多いのは良いことのように思えますが、タックルさせられている、とも言えます。成功率を計算してもおもしろいですよ。

キック

「インプレーキック」=ボールがプレーされている中で蹴るキック
これは数が多ければ良いというものではなく、キックを使ってゲームをマネージメントしているチームなのかどうかがわかる目安です。
普段はキックの多いチームが、負けるときは少なくなっているということもあります。毎試合チェックしているとその変化に気づくことができます。

ラック&モール

「ラック勝ち」「ラック負け」という項目がありますが、自分たちが持ち込んでラックにしたボールが出せているかどうかという数字です。
スーパーラグビーでは、平均的に1つのチームが1試合で70回ほどラックを作ります。これを目安に見てみてください。

セットプレー

ここは、僕がとても気になるところです。
現代ラグビーでは、セットプレー(ラインアウト、スクラム)が重要視されていますし、ここが攻撃のスタート地点だからです。
セットプレーでボールが確保できなければ、その後の継続も何もありません。サンウルブズは、2016年はセットプレーで苦しんでいましたが、2017年は成功率を高めています。

反則

僕はこの3項目の合計が10を超えたら「多い」と思っています。何かがうまくいっていない証ですね。


PLAYER STATS

参考STATS:ROUND 7 ブルズ戦

攻撃

アルファベットで省略されていますが、項目は「TEAM STATS>攻撃」とほぼ同じです。
「T」=トライ
「M」=ゲインメータ。ボールを持って進んだ距離
「C」=ボールキャリー。ボールを持って走った回数
「DB」=ディフェンス突破数。相手とコンタクトしながらも前に出た回数
「CB」=クリーンブレイク。タックラーに触らせずに抜け出した回数
「P」=パス
「O」=オフロードパス
「TC」=被ターンオーバー
「TA」=トライアシスト
「Pts」=得点

プレーヤースタッツでおもしろいのは、どの選手のM(ボールを持って進んだ距離)と、C(ボールを持って走った回数)が多いかです。
それによって、活躍している選手がわかるし、チームが目指すプレースタイルがわかります。もし、FWの選手で1人だけ「C」が多いとしたら、その選手をマークすればいいことになります。全員が平均的にキャリーしているチームは的を絞りにくい、という見方もできます。

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「基礎編①」では、「TEAM STATS・PLAYER STATS」の簡単な見方を教えてもらいました。
「基礎編②」では、この下にある3項目の中から、「ACTION AREAS & CHALKBOARD」を解説してもらいます。お楽しみに。
基礎編②
応用編
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野澤武史 Takeshi Nozawa
日本ラグビーフットボール協会リソースコーチ。
1979年4月24日生まれ、38歳。
慶応大学、神戸製鋼コベルコスティーラーズで活躍し、日本代表キャップ4。
現在はユース世代の指導を行いながら、テレビ解説や、新聞・雑誌ので執筆も行い、著書には『7人制ラグビー観戦術-セブンズの面白さ徹底研究』(ベースボールマガジン社)がある。グロービス経営大学院修了(MBA取得)。

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