スーパーラグビー2017 ROUND 11 ジャガーズ vs. ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ
マッチレビュー
コラム5/8(月) 11:31
前節のチーフス戦は手ごたえをつかむ惜敗。今節は勝ちきれなかった悔しい負けだった気がする。
ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズは、5月7日、日本時間の早朝6:40(現地時間5月6日)より、アルゼンチンのブエノスアイレスでジャガーズと戦った。ニュージーランド遠征から続く4週連続の試合で、選手には疲れが溜まっていたはずだが、前半のサンウルブズは、準備された通りのプレーでトライを奪っていく。
まずは開始1分、自陣10mライン右隅のスクラムからBKがサインプレーを仕掛け、SH矢富勇毅からパスを受けたFB松島幸太朗がディフェンスの背後へグラバーキック(地面を転がるキック)、これを瞬時の加速で相手に競り勝ったWTB福岡堅樹がキャッチして、すぐに内側をサポートしたCTBウィリアム・トゥポウにパス、先制トライにつなげた。SO田村優のゴールも決まって0-7とする。
5分にジャガーズSOフアン・マルティン・エルナンデスにPGを返された直後、自陣22mラインの相手ボールラインアウトから攻め込まれ、最後はNO8レオナルド・セナトーレに逆転トライを奪われる。思い切りよく走り込んでくるジャガーズのFW選手にややタックルが受けに回っての失点だった。
しかし17分、サンウルブズウはラインアウトからの連続攻撃で防御を崩し、NO8ヴィリー・ブリッツがタックラー2人の間に走り込んで抜き去りながら、右側にいたWTB江見翔太にオフロードパス。10-12とする逆転トライを演出した。その後は互いに攻め合い、35分を過ぎたところで、15-18とサンウルブズがリード。ここでジャガーズのSOエルナンデスがボールをはじくノックオン。このボールを拾ったSO田村が無人のフィールドを駆け抜けて15-25とリードを広げた。
4連敗中のジャガーズもホームで負けるわけにはいかない。勝利への執念を見せたのは、前半終了間際のことだった。トライ直後のキックオフをサンウルブズは確保できず、ジャガーズに攻め込まれる。サンウルブズがペナルティーを犯したところで前半終了時間を告げるホーンが鳴ったが、PKからのタッチキックは、ホーンが鳴っていてもプレーできるという今季の試験実施ルール(スーパーラグビーでは昨年から導入)を活用し、ジャガーズSOエルナンデスはタッチキックを選択する。試験実施ルールがなければPGを狙っただろう。
このラインアウトからのモールに対し、サンウルブズが反則(モールを崩すコラプシング)を犯すと、再びジャガーズはタッチキックからのラインアウトを選択し、サンウルブズのコラプシングによりペナルティートライとなる。加えて、この際に反則を犯したLOサム・ワイクスがシンビン(10分間の一時退場)となる。22-25に詰められた上に、後半最初の10分を14人で戦わなければいけなくなったサンウルブズには痛恨の失点だった。
後半の立ち上がりもジャガーズが攻勢に出るが、サンウルブブズは相手ボールのラインアウトをスチールし、ブリッツのタックルでターンオーバーしてFB松島幸太朗が切り返すなど、粘りのディフェンスで14人の時間帯をしのいだ。しかし、皮肉にもワイクスが戻った後半11分、ラインアウトのモールで逆転トライ(27-25)を奪われてしまう。
ただ、ジャガーズのディフェンスもニュージーランド勢に比べれば反応が遅く、14分にブリッツの突破から田村につないでトライをあげると、19分には交代出場のSH内田啓介の背後から走り込んだワイクスがトライをあげて、27-39とリードを広げた。
勝負どころの残り20分、サンウルブズには疲れが見え、ジャガーズは交代選手の活躍が目立った。
SHマルティン・ランダホ、SOホアキン・ディアス・ボニーラ、WTBマティアス・モロニ、FLファンマヌエル・レギサモンら後半投入された選手を軸にボールを動かし、PKからのランダホの速攻やモールで2トライをあげ、あっというまに39-39の同点となる。34分には、ボニーラがディフェンス背後にキックし、そのボールがサンウルブズの選手に当たってはねたところをキャッチし、最後はモロニが決勝トライを決めた。
サンウルブズも最後まで攻めたが届かなかった。サンウルブズにとっては、後半出場のFLエドワード・カークが負傷退場し、途中出場の真壁伸弥も足首を痛めるなど不運も続き、連戦の疲れも出て、逆転できる体力は残されていなかった。振り返れば、34-39と5点差に迫られた後半28分、自陣を脱出するロングキックがダイレクトタッチになって自陣深くに戻されたのが痛かった。そこからボールをキープして攻める体力は残されていなかったのかもしれない。
最初のトライを演出した松島・福岡は、その後もチャンスを作り、ピンチを防ぐ大車輪の活躍。HO庭井祐輔はじめ、体格的には小さなFW陣の力強いプレーにも成長を感じた。だからこそ、残念な敗戦だった。
ゲームキャプテンのティモシー・ラファエレは、次のようにコメントした。
「しっかり相手チームを研究して挑んだので、前半は自分たちのプレーを実行できたと思います。最後の20分でそのプレーを実行できなかったことが残念です」
庭井は4連戦のツアーを振り返り、こう話した。
「チームは確実に成長できたと感じられるツアーでした。最後に、こういう負け方になってしまったことは大変残念ですが、この結果をどう生かせるかは自分たち次第なので、次のシャークス戦にしっかり照準を合わせてやっていきたいです」
スタッツ(統計数値)を見ると、「ボールキャリー」(ボールを持って突進する回数)は、サンウルブズの「104」に対してジャガーズは「166」。「ゲインメーター」(前進した距離)は「500m」対「805m」。「パス」の回数は「134」対「192」。
ジャガーズがより多くパスでボールを動かし、ディフェンスを突破していたことが表れている。互いにタックルは甘い面があったが、全員がよく走り回った試合だった。サンウルブズは、1週の休みをはさんで、5月20日(土)、シンガポールで南アフリカのシャークスと対戦する。
©Gabriel Rossi/Getty Images
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◆チケット発売中!
ROUND 14 5月27日(土)14:15/秩父宮
ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ vs. チーターズ
・購入方法
ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズは、5月7日、日本時間の早朝6:40(現地時間5月6日)より、アルゼンチンのブエノスアイレスでジャガーズと戦った。ニュージーランド遠征から続く4週連続の試合で、選手には疲れが溜まっていたはずだが、前半のサンウルブズは、準備された通りのプレーでトライを奪っていく。
まずは開始1分、自陣10mライン右隅のスクラムからBKがサインプレーを仕掛け、SH矢富勇毅からパスを受けたFB松島幸太朗がディフェンスの背後へグラバーキック(地面を転がるキック)、これを瞬時の加速で相手に競り勝ったWTB福岡堅樹がキャッチして、すぐに内側をサポートしたCTBウィリアム・トゥポウにパス、先制トライにつなげた。SO田村優のゴールも決まって0-7とする。
5分にジャガーズSOフアン・マルティン・エルナンデスにPGを返された直後、自陣22mラインの相手ボールラインアウトから攻め込まれ、最後はNO8レオナルド・セナトーレに逆転トライを奪われる。思い切りよく走り込んでくるジャガーズのFW選手にややタックルが受けに回っての失点だった。
しかし17分、サンウルブズウはラインアウトからの連続攻撃で防御を崩し、NO8ヴィリー・ブリッツがタックラー2人の間に走り込んで抜き去りながら、右側にいたWTB江見翔太にオフロードパス。10-12とする逆転トライを演出した。その後は互いに攻め合い、35分を過ぎたところで、15-18とサンウルブズがリード。ここでジャガーズのSOエルナンデスがボールをはじくノックオン。このボールを拾ったSO田村が無人のフィールドを駆け抜けて15-25とリードを広げた。
4連敗中のジャガーズもホームで負けるわけにはいかない。勝利への執念を見せたのは、前半終了間際のことだった。トライ直後のキックオフをサンウルブズは確保できず、ジャガーズに攻め込まれる。サンウルブズがペナルティーを犯したところで前半終了時間を告げるホーンが鳴ったが、PKからのタッチキックは、ホーンが鳴っていてもプレーできるという今季の試験実施ルール(スーパーラグビーでは昨年から導入)を活用し、ジャガーズSOエルナンデスはタッチキックを選択する。試験実施ルールがなければPGを狙っただろう。
このラインアウトからのモールに対し、サンウルブズが反則(モールを崩すコラプシング)を犯すと、再びジャガーズはタッチキックからのラインアウトを選択し、サンウルブズのコラプシングによりペナルティートライとなる。加えて、この際に反則を犯したLOサム・ワイクスがシンビン(10分間の一時退場)となる。22-25に詰められた上に、後半最初の10分を14人で戦わなければいけなくなったサンウルブズには痛恨の失点だった。
後半の立ち上がりもジャガーズが攻勢に出るが、サンウルブブズは相手ボールのラインアウトをスチールし、ブリッツのタックルでターンオーバーしてFB松島幸太朗が切り返すなど、粘りのディフェンスで14人の時間帯をしのいだ。しかし、皮肉にもワイクスが戻った後半11分、ラインアウトのモールで逆転トライ(27-25)を奪われてしまう。
ただ、ジャガーズのディフェンスもニュージーランド勢に比べれば反応が遅く、14分にブリッツの突破から田村につないでトライをあげると、19分には交代出場のSH内田啓介の背後から走り込んだワイクスがトライをあげて、27-39とリードを広げた。
勝負どころの残り20分、サンウルブズには疲れが見え、ジャガーズは交代選手の活躍が目立った。
SHマルティン・ランダホ、SOホアキン・ディアス・ボニーラ、WTBマティアス・モロニ、FLファンマヌエル・レギサモンら後半投入された選手を軸にボールを動かし、PKからのランダホの速攻やモールで2トライをあげ、あっというまに39-39の同点となる。34分には、ボニーラがディフェンス背後にキックし、そのボールがサンウルブズの選手に当たってはねたところをキャッチし、最後はモロニが決勝トライを決めた。
サンウルブズも最後まで攻めたが届かなかった。サンウルブズにとっては、後半出場のFLエドワード・カークが負傷退場し、途中出場の真壁伸弥も足首を痛めるなど不運も続き、連戦の疲れも出て、逆転できる体力は残されていなかった。振り返れば、34-39と5点差に迫られた後半28分、自陣を脱出するロングキックがダイレクトタッチになって自陣深くに戻されたのが痛かった。そこからボールをキープして攻める体力は残されていなかったのかもしれない。
最初のトライを演出した松島・福岡は、その後もチャンスを作り、ピンチを防ぐ大車輪の活躍。HO庭井祐輔はじめ、体格的には小さなFW陣の力強いプレーにも成長を感じた。だからこそ、残念な敗戦だった。
ゲームキャプテンのティモシー・ラファエレは、次のようにコメントした。
「しっかり相手チームを研究して挑んだので、前半は自分たちのプレーを実行できたと思います。最後の20分でそのプレーを実行できなかったことが残念です」
庭井は4連戦のツアーを振り返り、こう話した。
「チームは確実に成長できたと感じられるツアーでした。最後に、こういう負け方になってしまったことは大変残念ですが、この結果をどう生かせるかは自分たち次第なので、次のシャークス戦にしっかり照準を合わせてやっていきたいです」
スタッツ(統計数値)を見ると、「ボールキャリー」(ボールを持って突進する回数)は、サンウルブズの「104」に対してジャガーズは「166」。「ゲインメーター」(前進した距離)は「500m」対「805m」。「パス」の回数は「134」対「192」。
ジャガーズがより多くパスでボールを動かし、ディフェンスを突破していたことが表れている。互いにタックルは甘い面があったが、全員がよく走り回った試合だった。サンウルブズは、1週の休みをはさんで、5月20日(土)、シンガポールで南アフリカのシャークスと対戦する。
©Gabriel Rossi/Getty Images
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◆チケット発売中!
ROUND 14 5月27日(土)14:15/秩父宮
ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ vs. チーターズ
・購入方法