NEWSニュース

メニュー

コラム

スーパーラグビー2017 ROUND 10 チーフス vs. ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ
マッチレビュー

村上晃一2017.05.01

スーパーラグビー2017 ROUND 10 チーフス vs. ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ<br>
マッチレビュー
ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズにとっては、大きな手ごたえをつかむ戦いだった。
ニュージーランド(NZ)遠征3連戦の最後となるチーフス戦は、NZ北島のハミルトンで、19:35(現地時間)にキックオフされた。2週前のクルセイダーズにはなす術なく敗れ、先週のハイランダーズ戦では終盤に2トライを奪いながら完敗。正確なパス、キック、力強い突進を織り交ぜてディフェンスを崩す手本のようなラグビーを見せつけられた。そして、迎えた3戦目。タフな戦いで得た教訓をいかに生かすか、コーチ陣、選手たちの真価が問われた。

ここまで7勝1敗ながらNZカンファレンス3位のチーフスは、前節のフォース戦から9名の選手を入れ替えてきた。少しでも順位争いを有利にするため、3トライ以上差をつけ、ボーナス点を獲得しての勝利が最低限の目標だった。
キックオフでは、チーフスFBダミアン・マッケンジーがサンウルブズ陣深くに蹴り込み、陣地を挽回しようとしたサンウルブズSOヘイデン・クリップスのキックをチャージ、ゴールライン直前のスクラムを得る。このスクラムでサンウルブズが反則を犯すと、フリーキックからの速攻で、HOヒカウェラ・エリオットがインゴールに飛び込む。勝利への強い意欲を感じる開始3分の早業トライだった。

サンウルブズも反撃を開始。「今日は、スマートなラグビーができた」とフィロ・ティアティア ヘッドコーチが言う通り、SH田中史朗を軸に安易にキックを使うことなく、素早くボールを動かしてチャンスを作った。
前半11分には、相手陣ゴール前5mで得たラインアウトからモールを組み、HO木津武士がインゴールにボールを運ぶ。しかし、チーフスのSOアーロン・クルーデンにボールの下に体を入れられ、トライならず。前半20分、クリップスがPGを返し、スコアは、5-3。拮抗した時間を長くしたかったが、23分、自陣深く攻め込まれ、スクラムからの一連の攻撃でWTBソロモナ・アライマロ にトライを奪われてしまう。チャンスを確実にものにするチーフスの決定力はすさまじい。前半終了間際には、スーパーラグビー随一のディフェンス突破能力を誇るFBダミアン・マッケンジーに、4人のディフェンダーが振り切られてトライを許し、20-3で前半を終了した。

このまま引き離されれば、これまでと同じだ。しかし、この日のサンウルブズは違った。後半のキックオフでは、CTBウィリアム・トゥポウの激しいタックルでチーフスのミスを誘う。5分、ゴール前のスクラムからの攻撃で、田中がトライし、20-10と差を詰める。後半6分には、先発SOクリップスが負傷退場。田村優が投入され、さらにテンポアップ。ここから2本のPGを外したのは痛かったが、FB松島幸太朗のカウンターアタック、LOサム・ワイクス、真壁伸弥らが突進し、互角の攻防となる。しかし、後半19分、ハイパントを切り返され、チーフスのWTBジェイムズ・ロウ、FBダミアン・マッケンジーに左タッチライン際を破られてトライされ、27-10と引き離される。

それでも、サンウルブズはあきらめなかった。「今日の試合は、気持ちの強さ、勝ちたいという部分が強く出た」(松島幸太朗)。26分、SO田村優のパスを受けたHO庭井祐輔が抜け出し、ディフェンダーを自分に引きつけながらCTBデレック・カーペンターにパス。カーペンターがタックルを受けながらもゴールに滑り込んでトライ。
33分には、先発のWTB後藤輝也に代わって出場したジェイミー-ジェリー・タウランギがPGを決め、27-20とする。
トライ数は、4本対2本。ここからは、勝利を目指すサンウルブズと、3トライ以上引き離しての勝利を目指すチーフスの手に汗握る攻防が繰り広げられた。終了間際、チーフスの猛攻を受けたサンウルブズはカーペンターが相手のパスをカットしようとした際に故意のノックオンと判定され、シンビン(10分間の一時退場)。続いてタウランギが肩を相手の頭部に強くヒットする反則でレッドカード(退場)を受け、13人で戦うことになる。しかし、その後も闘志は衰えず、13人が体を張ってタックルを繰り返して守り切り、7点差以内の負けに与えられるボーナス点「1」を獲得した。

「雨でなかなかボールが手につかない展開の中で、キックを使い、相手のミスを誘うように前へプレッシャーをかけるなどして、それがうまく機能し点差を縮めることができました」(真壁伸弥)。
スタッツ(統計数値)では、ボールキャリー(ボールを持って突進した回数)で、チーフスが「122」、サンウルブズは「125」。前進した距離(ゲインメータ)が「412m」対「398m」、ディフェンス突破回数は「20」対「19」とほぼ拮抗。スクラムでは圧力を受けたが、ラインアウトでは逆に成功率で勝るなど、スコアに表れた通りの僅差勝負だった。

トライをあげたカーペンターは次のようにコメントした。
「NZのチーム相手の3試合で、どんなに小さなミスも許されないことを実感しました。今日の後半は小さなミスも減少し、相手にプレッシャーをかけることができました。この先も厳しい戦いが続きますが、チーフスを相手に惜しい結果を残せたことは、チームのモチベーションにとっていいことだと思います」
何度も果敢なアタックを見せた松島幸太朗は、「仕留めきれる部分を多くすれば、同点にして勝てるチャンスもあったと思います。技術面もメンタルの部分も成長できているので、次の遠征でもこのモチベーションを上げていきたいです」とアルゼンチン遠征を見据えた。

5月7日(日)は、アルゼンチンのブレノスアイレスに乗り込み、ジャガーズとの対戦だ(日本時間 朝6:40キックオフ)。昨年、唯一の勝利をあげた相手に、さらに成長した姿を披露したい。


写真:デレック・カーペンター選手のトライシーン 
©Photo by Hannah Peters/Getty Images