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スーパーラグビー2017 ROUND 14 ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ vs. チーターズ
マッチレビュー

コラム5/29(月) 10:28
はがゆく、悔しい戦いだった。必勝を期して臨んだヒト・コミュニケーションズ サンウルブズの選手たちだったが、快晴の秩父宮ラグビー場に集った12,898人の観衆と喜びを分かち合うことはできなかった。
「今日は、60分までは勝つチャンスがありました。学びの多い、たくさん課題の出た試合でした」。フィロ・ティアティア ヘッドコーチは、いつもの通り、柔らかな表現を使ったが落胆の表情を隠せなかった。

試合前、ゲーム運びを司るSO田村優は「攻めまくります」と話していた。しかし、実際にはそうはならなかった。風下に立ったサンウルブズは、約15分間、自陣で防戦一方に追い込まれる。FLマルジーン・イラウア、LOサム・ワイクスらのタックル、CTB立川理道のターンオーバーなどで粘るのだが、チーターズのキャプテンHOトルステン・ファンヤースフェルトが「今日はダイレクトなプレーで攻めたい」と話した通り、SHショーン・フェンターのパスに大型選手が次々に走り込んでくる。そして前半16分、FLウゼアー・カシームにトライを奪われた。このダイレクトプレーがサンウルブズのスタミナを徐々に奪うことになった。

その後も、サンウルブズは地域を進めるためにキックを使うのだが、チーターズはキャッチしたボールを簡単に蹴ることなくボールをキープし主導権を握った。サンウルブズがようやく相手陣の22mライン内に入ったのは、前半26分だった。しかし、このラインアウトでは、ボールがまっすぐ投げ入れられない「ノットストレート」の反則でチャンスを逃してしまう。
32分、FB松島幸太朗の好キックで相手陣深く入り、チーターズがこのラインアウトでミスをしたことで、ボールはサンウルブズに転がり込んだのが、BKがパスミスを犯し、またしてもトライチャンスを逃した。この日のサンウルブズは万事この調子で、相手ボールを奪っても、ミスでボールがつながらない。「(ミスが多くなったのは)焦ったところがあったかも。逆にチーターズはうまくパスをつないでいた」(SH田中史朗)。
前半終了間際には、チーターズが、7連戦で疲れた体に鞭打って密集サイドを執拗に攻撃。最終的には交代出場のFLニール・ヨダーンが右コーナーに飛び込み、0-14で前半が終了した。

後半、流れを変えようとしたサンウルブズだが、開始早々にSOダニエル・マレーにトライを奪われ、0-19と引き離されてしまう。直後、SH田中史朗の防御背後へのキックを俊足WTB中鶴隆彰が追ったがボールがキープできず。しかし、攻勢は続き、7分、スクラムからの連続攻撃でLOサム・ワイクスがゴール中央に飛び込む。ゴールも決まって7-19。
疲れの見えるチーターズに対し、流れをつかみ始めたサンウルブズに大声援が送られる。その数分後、チーターズ陣で得たPKから速攻を仕掛け、立川のパスで田村が抜け出し、ゴールラインに迫った。声をからすサポーター。14-19になると誰もが思った瞬間、あと数mの場所で田村がタックルされ、WTB江見翔太にパスを出したが、これがスローフォワード(前に投げる)の判定。点差を詰めることができなかった。以降は互いに疲れも見えはじめ、我慢比べとなる。

一進一退の攻防の中で、先にトライをとったのは、チーターズだった。後半26分、FLウゼアー・カシームが左コーナーにトライ。4分後には、HOトルステン・ファンヤースフェルトがポスト左に飛び込む。7-33と突き放されると、サンウルブズに反撃する体力は残っていなかった。後半21分に交代出場したFL金正奎も、「元気な自分がエナジーを入れたかったのですが、選手たちの疲労は明らかでした。前半、近場(密集周辺)の攻めが強烈だったのだと思います」。
残り5分間、さらに2トライを追加されての大敗。終盤にトライを畳みかけられる展開は、前節のシャークス戦と似通っていた。

「スコアすべきところで、スコアできず、攻める時間も短かった。チーターズは目に見えて体力が落ちていたのですが、後半最初のトライが勝敗を分けたと思います。一瞬でも気を抜けばトライされる。それがスーパーラグビーです」。立川理道キャプテンは、淡々と試合を振り返った。防御背後へのキック多用の戦略については、「良いキックは数本しかなかった。自分たちがいい状況でのキックを増やしていきたいです」と、ディフェンスの圧力を前に苦し紛れに蹴ったキックも多く、主導権を握れなかったと語った。FL松橋周平は「ボールを持っていないときの動きが悪く、気の緩みが多かった」と、80分間、チーム全体に高いレベルで集中力が保てなかったこと敗因にあげた。 
田村優は、「何をやってもダメな日でした。選手が手を抜いていたわけではないのですが、ちょっとずつ崩れて行きましたね」と話し、小さなミスや反則で流れが悪くなり、気が付けば取り返しがつかなくなった展開を振り返った。「我々はプランを遂行できず、チーターズは、ボールの継続支配、オフロードパスなどプランを遂行した試合でした。チーターズのパフォーマンスはすばらしかったと思います」(ティアティア ヘッドコーチ)。
公式スタッツ(統計数値)では、サンウルブズは、チーターズのボールを20回ターンオーバーしている。これだけボールを奪い返しながら、1トライしか奪えなかったのは、一人一人の判断や反応が悪かったということだろう。「スーパーラグビーのレベルに達するため、日々、成長していくしかありません」(ティアティア ヘッドコーチ)。

6月は日本代表戦が行われるため、サンウルブズの次の試合は7月2日(日)のライオンズ戦(南アフリカ・ヨハネスブルグ)。そして、7月9日(日)のストーマーズ戦(南アフリカ・ケープタウン)、7月15日(土)のブルーズ戦(東京・秩父宮ラグビー場)と続く。なんとしても2勝目をもぎ取りたい。
 

©JSRA photo by H.Nagaoka

国内第3戦(SUPER RUGBY Rd.14)

ヒト・コミュニケ ーションズ サンウルブズ 7-47 チーターズ
2017年5月27日(土 ) 秩父宮 ラグビー場
試合詳細
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国内第4戦(SUPER RUGBY Rd.17)

ヒト・コミュニケ ーションズ サンウルブズ vs ブルーズ
2017年7月15日(土)12:05キックオフ
秩父宮 ラグビー場
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